「山形県レスリング協会」が“機能停止”の衝撃…日本の「お家芸競技」レスリングが「国スポ」正式種目から“降格”危機も

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 今年の国スポ(国民スポーツ大会=かつての国体)は青森県で10月20日まで開催された。その国スポの会場から悲痛な叫びが寄せられたのは先週13日の午後。国スポに参加していた山形県のレスリング関係者からの電話だった。【小林信也(作家・スポーツライター)】

協会が機能不全に

「山形県レスリング協会の会長以下11人の役員が全員辞任したため、協会が機能を停止しているんです。そのため夏の大会には選手が出場できませんでした。国スポも危うく出場できなかったところ、なんとか要望書を出すなどして特例で参加できました」

 山形県レスリング協会が機能停止? にわかに信じられないが、ネットで検索してみると山形県の地方紙には報道があった。関係者から送られた新聞コピーには次のように報じられていた。今年6月6日、山形新聞の記事だ。

『県レスリング協会が、会長を含めた全常任理事の辞任に伴い、活動を休止していることが5日分かった。国民スポーツ大会などの県予選会開催や選手強化を図る上で、現場の指導者らとの連携が十分に取れていない状態だったとみられる。現時点で役員体制を再構築する見通しは立っておらず、予選会開催や本大会への選手派遣に影響しそうだ。

 関係者によると今年1月の同協会臨時総会で常任理事約10人が辞任した。理由について、長く常任理事を務めた男性は山形新聞の取材に対し「これまで県予選会の会場確保や選手エントリーなどの面で現場の協力が得られなかった」と説明し「新しい体制で運営してほしい」と述べた。常任理事は会長や副会長、理事長らが担っている。現場の指導者の1人は「詳細な引き継ぎもなく急に(辞任が)決まった。自分たちも本来の業務があり、役員業務を担うのは難しい」と困惑する』

心情的な軋轢

 会長以下役員全員が職務を投げだした、そのため協会が機能不全に陥った……。東北大会や全国大会、国スポなどの出場申請を受け持つ協会が機能しなければ、選手たちが上部大会に出場できなくなる。それを知っていながら、後任人事の目途もつけることなく、役員たちはなぜ責任を放棄したのだろう。

 レスリング関係者に取材を進めると、いくつか背景が浮かびあがった。

「山形県レスリング協会は以前から3つの派閥の勢力争いが展開されていた。主に昔から強豪だった3つの高校のOBたちの流れをくむ派閥です。山形といえばメルボルン五輪(1956年)で金メダルを獲った笹原正三さんの故郷。笹原さんの母校は市立山形商、いまも強豪校です。ほかに上山農業高校(現・上山明新館高)、県立山形南高のOBが発言力を持っています」

 そう教えてくれたのは他県のレスリング関係者だ。さらに、協会内では対立的な出来事も渦巻いていた。

 数年前、県協会が原告となって、現場の指導者2人を訴える出来事があった。被告の2人は今年の国スポでも少年チームと成年チームの監督を務める、山形県においては強化指導の中心的存在。いずれも高校の教員だ。県協会の公金を不正に流用した容疑で県協会は2人を訴えた。2人は弁護士を立てることもせず、一貫して否認した。当事者によれば2年前、判決の直前になって協会側の弁護士が辞任。協会も訴訟を取り下げたため、裁判は終了している。当事者は「嫌がらせ、言いがかりだったのではないか」と推測する。いずれにせよ、山形県レスリング協会内部に心情的な軋轢があった、こうした不協和音が辞任騒ぎにも影響しているのだろう。

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