「民泊への規制強化を喜ぶのは“違法業者”ばかりです」…専門家が明かす「閉鎖」「禁止」が民泊問題の解決に繋がらない理由 「悪質な業者は徹底的に排除してほしい」

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 2010年代、政府が外国人観光客の誘致を積極的に進め、規制緩和などによって日本中で爆発的に広まったのが「民泊」である。2017年には住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立。翌年に施行され、届け出をすれば既存の住宅を利活用して年間180日以内の宿泊営業ができるようになった。だが、そのあり方を巡って様々な騒動が起こっている。

 現在、全国にある民泊の数は約4万3000軒とされるが、急激な増加に伴って近隣住民とのトラブルが各地で報告されるようになった。これを受け、今年の7月に観光庁が「合理的に必要と認められる限度において、規制を行うことが可能である」という通知を出したことで、各地で民泊の規制条例を検討する動きが活発化しているという。

 一方、こうした条例制定に疑念を抱くのが、行政の民泊政策に詳しいコンサルティング会社代表の宮田洋輔氏である。「問題を起こしている人は論外ですが、各地で条例が制定されると真面目にやっている人たちにも制限が加えられ、廃業に追い込まれかねない」と、懸念する宮田氏。現在、民泊の世界で何が起こっているのか、話を聞いた。【取材・文=山内貴範】

2010年代に民泊が急増、トラブルも急増

 そもそも、民泊と旅館(ホテル)は何が違うのだろうか。まず管理に関係する法律が異なっており、民泊は住宅宿泊事業法、旅館は旅館業法にわかれている。また、民泊は住居地域でも届け出だけで始められるが、旅館は商業地域に開業されるケースが基本で、旅館業法に基づき、保健所に旅館業営業許可申請書などを提出しなければならない。

 民泊そのものは以前から存在し、安倍晋三政権下では政府主導で外国人観光客の受け入れが行われた。一方で、東京オリンピックも控えていた頃から、宿泊施設の供給不足に陥ることが予想された。そこで、住宅宿泊事業法が施行されて民泊の開設が積極的に進められていったのだ。だが、同時にトラブルも相次ぐようになった。宮田氏が言う。

「東京の江東区晴海にある『晴海フラッグ』では、禁止されているにもかかわらず民泊を手掛ける中国人が後を絶ちません。注意されても、“友達を泊めているだけなのに何が悪いのか”と言い逃れをする。同様のトラブルは全国で起こっています。行政や警察が介入して民泊を中止するように言っても、違法な業者はお構いなしにやっているのです」

 違法行為をしても、立件が非常に難しいという。物件の所有者と宿泊者が「友達ではない」ことの立証が難しいうえ、金銭の受け渡しを見たわけではないため、証拠をつかみにくいのだ。かくして、違法業者が「儲かるらしいぞ」と次々に参入、“違法民泊”の巨大市場ができつつあるのだ。

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