大阪の中高生8人が全国大会に出場できず…日本陸連の「スポーツはルール厳守が鉄則」が常に正しいとは限らない むしろ“失敗に寛容”なのがスポーツではないか

  • ブックマーク

オープン参加も許されない

 担当者がエントリーミスに気づいたのは締切日9月24日夕方。慌てた担当者および中体連上層部が日本陸連に照会したのはその直後ではなかったろうか。だとすれば、大会が始まる10月23日まではたっぷり3週間以上ある。これだけの余裕があっても受け付けられない理由は何だろう? 期限内にエントリーしなかったという罰則的理由以外に合理的な拒否理由があるだろうか?

 想像するに、(1)コース順だとか予選のグループ分けなどの競技運営に支障をきたす。(2)プログラムなどの印刷が間に合わない。(3)障害保険などの契約に支障をきたす。等の理由が考えられるが、いずれも3週間あれば問題なく修正・追加できるだろう。あるいは、「プログラムに名前がなくてもいいから、参加だけでもさせてほしい」というのが選手の素直な気持ちではないか。それができないのは、「示しがつかない」「今後も同じことを認めていたら収拾がつかない」といった理屈だろう。だが、制度を変えることでそのような混乱は防げるはずだ。

 今回の不祥事を受けて大阪府中体連は「今後は担当を一人から二人に増員して間違いがないようチェック体制を強化する」といった方針を示した。一人より二人の方が間違える確率は減るだろうが、もっと確実な方法がある。

 例えば、エントリーを二段階にして、最初のエントリーが終わったら登録者がネット上で確認できるようにする。本人および父母が確認すれば問題はない。もし自分の名前がなければその時点でアピールし、ミスがあれば訂正することができる。受ける側の日本陸連も、「大阪府からはひとりのエントリーもないが、出場はゼロなのか?」と気づいたら確認し、補正するゆとりが生まれるだろう。現行ルールではそれができない。エントリーを二段階にするだけで、日本陸連から確認することもできるようになる。

ミスがあってもおかしくない状況

 この問題には他にもいくつか側面がある。端的に指摘しておこう。多くの方々は、「中体連」と聞いて何となく「大きな組織」を想像したのではないか。確かに、全競技、全選手、全指導者たちを合わせたら大所帯ではある。が、日々その事務を担当しているのは、私が知る限りどの都道府県でも「ひとりだけ」の場合が多い。それも、主に体育科の教員が、持ち回り的に担当している。事務の専門家ではない。むしろ事務作業が得意じゃない担当者もいるだろう。関係者に尋ねると、「中体連の担当者になると、受け持つ授業は1日1時間程度に減らされますが、担当は一人ですし、慣れない事務作業だから慣れるまで大変です」と教えてくれた。

 ミスを庇うつもりもないが、ミスがあってもおかしくない状況ではある。全国大会などはスポンサーもついて華やかに開催される競技もあるが、その予選となるとほぼ手弁当で実施される。それが日本の中学、高校スポーツの貧しい現実、本当に指導者たちの献身的な情熱で支えられて来た現実も併せて伝えておきたい。本来なら、全国津々浦々のジュニアスポーツの現場への予算配分も重要なスポーツ施策なのだが、それはまったく足りていない。

次ページ:スポーツ界の寛容さをわきまえない愚挙

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。