2020年の朝鮮半島 「帰らざる橋」を渡り始めた韓国 南北クーデターの可能性に注目

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 2020年の朝鮮半島は大荒れしそうだ。米韓同盟の存続に黄信号が灯ったからだ。北朝鮮の体制の揺れも見逃せない。韓国観察者の鈴置高史氏が分析する。

共通の敵を失い、離婚寸前

鈴置:朝鮮半島情勢がいよいよ煮詰まってきました。米中の覇権争いが激しくなる中、韓国の「離米従中」が露骨になってきたのです。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「本音」を語ると見なされる文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が、韓国は中韓同盟を結ぶ手がある、と言い出しました。

 トランプ大統領も北朝鮮包囲網で米国に協力する国を挙げた際、ロシア、中国、日本とNATOに言及しましたが、韓国は除きました。韓国をロシア、中国よりも疎遠な国として取り扱ったのです。米韓は離婚寸前です。

 こうした動きに関しては「ついに『中韓同盟』を唱え始めた文在寅政権 トランプ大統領は『韓国は北朝鮮側の国』と分類」でご覧になれます。

 米国と韓国は共通の敵を失った。韓国は台頭する中国を絶対に敵に回したくはない。北朝鮮も今の左派政権にとっては和合の対象です。韓国にすれば米韓同盟は不要な存在です。

 ことに米中の覇権争いが露骨になった2018年以降、中国から「米国と別れろ」と脅されています。米国との同盟は不要どころか「危険物」になったのです。

大統領補佐官が「嫌がらせ作戦」

――でも、そんなに簡単に同盟を壊せるものでしょうか?

鈴置:左派は米国に対する「嫌がらせ作戦」を展開しています。「中韓同盟」発言の文正仁特別補佐官が音頭をとっています。

 まず9月9日、文正仁特別補佐官は高麗大学の講演で「傲慢な米国」に抗するため米大使館にデモをかけろ、と呼びかけました(「韓国は元々中国の属国――米国で公然と語られ始めた米韓同盟の本質的な弱点」参照)。

 すると10月18日、ハリス(Harry Harris)米大使の公邸に左派の学生ら19人が侵入しました。在韓米軍経費の分担引き上げに反対し「ハリスは出て行け」「米軍は撤収しろ」と叫んだのです(「文在寅のせいで米国に見捨てられる 核武装しかないと言い始めた韓国の保守派」参照)。

 塀に梯子をかけ、乗り越えて公邸に侵入したのですが、警備の警察官は見ているだけで止めませんでした。青瓦台(大統領府)の高官の呼び掛けに応えた「愛国者」に手は出せなかったのでしょう。

 当然、この手抜き警備に米政府は強く抗議しました。が、韓国の警察は関係した警察官の誰にも責任を問いませんでした。「反米運動」をそそのかす青瓦台に忖度したと思われます。

米国大使の髭を引き抜く

 12月13日、調子に乗った左派の運動家は米大使館前でハリス大使の糾弾大会を開きました。ハリス大使の写真にぶら下げた髭代わりの紐を引き抜いたり、大使の写真を貼ったボールを蹴り飛ばすなど、嫌がらせを尽くしました。

 韓国側に分担金の引き上げを求めた際、大使の態度が「植民地の総督」のように傲慢だった、と彼らは主張しています。「植民地」を持ち出したのは、ハリス氏の母親が日本人だったからです。

 なお、「植民地の総督」は北朝鮮が使い始めた表現です。韓国の左派が北朝鮮の指示の下、動いているのがよく分かります。

 この日の集会のスローガンは「ハリスを追放せよ」に加え「在韓米軍は要らない。出て行け」でした。米メディアもロイター電「South Korean Protesters destroy portraits of U.S. ambassador」(12月13日、英語版)などを使い、一斉に報じました。

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