「彼女に脅迫されている」25年前の元恋人から届いた手紙を読んで過呼吸に… “ある一文”が50歳夫の家庭を壊しかけた
心に突き刺さった一文
そして優美さんの自殺の理由も、妹には「見当がつかない」ということだった。夫婦関係はゆがみながらも続いていたし、姉がこの世に別れを告げる理由は何もないはずだったと。
「でも何もないから、ふっと嫌になってしまったのかもしれません」
妹はそう言い、あなたには何の責任もないと思っていますと去って行った。
「優美さんからの手紙を、その場で開きました。『この手紙が岳人さんに渡るかどうかわからないけど』という書き出しでした。亡くなる前に書いたのかと思うと、途中で文字が霞んで見えなくなった。夫との関係については納得できる説明はありませんでした。ただ、『私は歪んだ愛情をもつ夫を愛し、ストレートな愛情をぶつけてくれるあなたも愛した』と書いてあった。すべて自分のわがままです、ごめんなさいって」
そこまで読んで、彼は気持ちが楽になるのを感じたという。少なくとも自分のせいで、彼女が生きることをあきらめたわけではないとわかったからだ。ただ、そのあとの一文が、彼の心に突き刺さった。
「おそらく夫は私の後を追うと思う。岳人さんにはそれはできないでしょう」
脅迫されている…
死んだ女に脅迫されていると彼は感じたという。私のことが好きならやってみなさいよと責められている気がした。こういうことを書く彼女がおかしいと思いながらも、「あのころのひたすら彼女を求めている感情」が蘇ってきて、彼はパニックになった。
「生まれて初めて過呼吸になりました。喫茶店で手紙を読みながら過呼吸を起こすなんて、我ながら情けなかった」
店主が救急車を呼んでくれ、彼は救急搬送された。病院に妻の美帆さんが駆けつけてきた。過呼吸はおさまり、彼は美帆さんとともに自宅に戻った。
だが翌日、今度は出勤途中で電車に乗っている間、急な不安に襲われて電車を降りた。何本かやりすごしたが、結局、出勤できず、タクシーで自宅に戻った。
「いったいどうしたのと美帆に聞かれました。話すべきかどうかわからなかったけど、自分でもこれほど動揺すると思っていなかったので、気持ちが弱くなっており、優美さんとの関係を話しました。もう四半世紀近くも前のことなのに、そこから脱していなかった自分に衝撃を受けてもいると正直に言うと、『あなたとのこの結婚生活は何だったの』『私たちは嘘の愛情で成り立っていたの?』と言われました。そうじゃないと言ったんですが、美帆にはわかってもらえなかった。『今さらながら衝撃を受けている自分にショックを受けている』ということが理解できないと言われて……」
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