五輪と比べて「アジア競技大会」の注目度が低すぎでは? これまで日本人4選手が受賞した「MVP」に輝くのは誰か 「北島康介」「池江璃花子」よりも早くMVPを獲得した「日本人スプリンター」とは
アジア競技大会が9月19日(土)から愛知県名古屋市を中心に開催される。広島大会以来、32年ぶりに日本が舞台になる〈アジア最大のスポーツの祭典〉。開幕まで1ヵ月を切ったが、どれだけの日本人がこの大会を知っているだろうか。「知っているよ」というスポーツ・ファンも、どれだけ高い関心を寄せているだろうか?【小林信也(作家・スポーツライター)】
【写真】ミャクミャクみたいに人気出るか アジア競技大会のマスコット「ホノホン」の“名古屋ならでは”なビジュアル
独自競技とMVP
オリンピックに比べると、アジア競技大会への関心はかなり低いだろう。金メダルの価値についても五輪より評価が低いように思われる。世界より狭いアジア、世界の一地域でしかないアジア。現代の商業主義的価値観では、アジア競技大会の位置づけや評価が曖昧だが、本来、最も身近な周辺国とのスポーツ交流にはとても大きな意味があるのではないか。そんなことに思いを馳せるきっかけにできればうれしい。
オリンピックになくて、アジア競技大会にあるもの。その象徴はやはり、アジアに源流を持つ独自の競技が正式に採用されていることであろう。セパタクロー、カバディなどは、アジア競技大会をきっかけに私たち日本人が知るようになり、大学生を中心に競技者も増えてきた競技だ。伝統的にインドの人気スポーツであるクリケットは2010年大会で初めて採用され、28年のロサンゼルス五輪では正式種目にもなった。1998年大会から採用されているスカッシュも28年大会から五輪でも実施される。
もうひとつ、アジア競技大会にしかないものの象徴は「大会MVP」だ。98年のバンコク大会から採用され、最初の受賞者は陸上男子短距離で、100メートル、200メートル、400メートルリレーの三冠に輝いた伊東浩司選手だった。伊東は準決勝でアジア記録の10秒00をマークした。速報タイムでは9秒99が表示され、日本人初の9秒台かと大きな話題となった。その後も北島康介、萩野公介、池江璃花子の3選手が受賞。7大会中4回、日本人選手がMVPに輝いている。
2018年ジャカルタ大会のMVPが池江璃花子だったと改めて知らされ、複雑な感傷に襲われるのは私だけではないだろう。高校3年生だった池江は、8月のジャカルタ大会で、50メートル、100メートル自由形、50メートル、100メートルバタフライ、400メートルフリーリレー、400メートルメドレーリレーの6種目に優勝。日本人初の6冠に輝き、MVPに選ばれた。その約半年後、オーストラリアでの合宿中に不調を訴え、白血病と診断される。いまは見事に復活し、今大会にも池江は出場する。アジア競技大会は、選手としての池江の眩しさを語る上では忘れることのできない舞台。あれから8年目の名古屋で、池江がどんな泳ぎを見せてくれるのか。そこには勝負を超えたスポーツの価値のようなものが浮かび上がって見えるのではないだろうか。
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