昔は“パンストが伝線”したときの駆け込み先だったのに…コンビニで「おしゃれ靴下を選ぶ」時代 元ローソンバイヤーの反省

  • ブックマーク

なぜ今、コンビニアパレルは成功しているのか

 今回のコンビニアパレルの成功は、もちろんバイヤーの商品開発の賜物だ。だがそれ以上に、大きな売り場を確保していることが大きい。コンビニ全体から見れば売上・利益効率は決して良くない。それでも「新しい市場をつくる」という戦略を優先しているのだ。

 ここで効いているのが、親会社のトップダウンによる後押しである。ファミマのコンビニエンスウェアは親会社・伊藤忠商事が全面バックアップ。ローソン×無印は、ローソンの親会社・三菱商事と、無印を展開する良品計画との関係が背景にある。三菱商事は良品計画の主要株主の一つであり、かつては三菱商事系の会社が無印向け衣料を長年供給してきた間柄だ。売上効率だけでは説明できない大型投資を続けられたことが、成功の肝になっている。

 戦略には、二つのタイプがある。

 ファミマは無印が同じセゾングループだった歴史的経緯からもともと無印の衣料を扱っていたが、条件交渉で折り合えなかった経緯もあり、伊藤忠の協力で自社開発に踏み切った。自社でブランドを育成し、利益を確保する戦略だ。

 一方、ローソン、そして今後のセブンは、すでにファン顧客を持つブランドと組む。こちらは利益よりも新規顧客の確保に力点を置き、「ついで買い」を誘う戦略である。アパレルそのもので大きく稼ぐというより、弁当・飲料以外の新しい日販アップ商品をつくり、来店動機を増やす狙いだ。

「実験店舗」としての専門店

 注目したいのが、ファミマが2025年に、東京・港区芝浦に開設したコンビニエンスウェアのサテライトショップだ。通常店では数十アイテム程度だが、この専門店では、18坪ほどの店内にほぼフルラインナップとなる約150アイテムを展開する。これは単なる売店ではなく、コンビニアパレル版の実験店舗でもある。ここで得られた販売データや顧客の反応が、私にはコンビニアパレル版の実験店舗に見える。

 バイヤー時代の感覚で言えば、狭い売り場で勝負するコンビニにとって、「広い売り場で思い切り試せる場」を別に持てることの価値は計り知れない。本来なら全店で試さなければ分からない品揃えの当たり外れを、専門店一店で先に検証できる。リスクを抑えながら次のヒットの種を探す、極めて合理的なMD(マーチャンダイジング)の仕組みである。

次ページ:それでも残る課題は

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。