昔は“パンストが伝線”したときの駆け込み先だったのに…コンビニで「おしゃれ靴下を選ぶ」時代 元ローソンバイヤーの反省

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 コンビニでアパレルが売れている。それも「破れたストッキングを慌てて買う」のではなく、「気に入った靴下やTシャツを買いに行く」という日常使いへ、お客さまの利用シーンが大きく変わってきている。

 火付け役は、2021年に始まったファミリーマートの「コンビニエンスウェア」だ。累計3,000万足を売り上げたラインソックス(税込み429円)、累計1,000万枚を超えた今治タオルハンカチ(税込698円)はすでに看板商品となっているが、いまやTシャツにサングラス、腕時計、日傘……と、なんでもござれの幅広い展開で、全身コーディネートが組めるアパレルブランドへと成長した。リエイティブディレクターはファッションデザイナーの落合宏理氏。コンビニ発のブランドとは思えないデザイン性が、若者を惹きつけている。

 これに続いて、2022年からはローソン×無印良品が店頭で大きく売り場を取り全国展開をスタート、コンビニアパレルの市場を広げている。ついにはセブン-イレブンも今秋、アパレル専門企業と組んで本格参入する。ファミマが市場を開き、ローソンが追随し、セブンも参入する三つ巴の構図が、いままさに出来上がりつつある。

 20年ほど前、私がローソンでコンビニアパレルのバイヤーをしていた頃から見れば、まさに隔世の感がある。当時、コンビニに「日常使いの顧客」が主流になるなど、まったく予想していなかった。そんなマーチャンダイジング(品揃え・売り場づくり)も、まったくしていなかったのだ。

 数字でも変化は表れており、私が担当していた頃の標準的な店舗では3日に1足程度だった靴下の販売が、現在のファミマ・コンビニエンスウェア導入店では1日1足ペース売れている店舗もある。約3倍の伸びだ。

ストッキングが売上の半分を占めていた「緊急購買」の時代

 当時のコンビニアパレルは、緊急購買が主流だった。象徴的なのがストッキング、いわゆるパンストである。私が担当していた当時のローソンのコンビニアパレル売場では、ストッキングが売上の半分以上を占めていた。

 理由はシンプルで、「破れるから」だ。朝履いた瞬間、通勤途中、階段、デスクの角──ストッキングは突然伝線する。当時「OL」と呼ばれていた女性会社員を中心に、銀行・百貨店・受付・営業職などでは「ストッキング着用が当たり前」という時代だった。生足はマナー違反とすら見られていた。ところが百貨店も夜には閉まる。「今すぐ必要」という需要を、24時間営業のコンビニが一手に引き受けていたのである。

 ストッキングだけではない。雨に濡れたから靴下、急なお泊まりになったから下着、トランクスやボクサーブリーフ、生理用ショーツ──まさに「困った時に買う」緊急購買の売り場だった。傘と並んで、コンビニが「緊急需要を解決する店」だったことを象徴する商品群だった。

 ちなみに、コンビニのストッキング売り場は、昔よりかなり縮小している。オフィスカジュアル化、クールビズ、働き方改革、そしてコロナ禍のテレワークを経て、「履かなければならないもの」から「必要なら履くもの」へと、働く女性の服装の自由度が高まった結果である。

 縮小といえば当時、私が手がけたものの定着まで至らなかった商品開発もある。「ガテンブランド」だ。「ガテン」とは、建設・土木・運送などの現場で体を動かして働く職人さん(いわゆる肉体労働系の職種)を指す言葉で、リクルートの求人誌『ガテン』が広めた呼び方だ。当時はワークマンがまだ今ほどの店舗網を持っていなかった時代背景もあり、コンビニの主要客層だったガテン系のお客さま向けに、リクルートと組んで商品を開発した。頭に巻きやすいロングタオルや作業性に優れた靴下など、丈夫さや快適性を追求したアイテムには、ニーズはあったはずなのだが、残念ながら定着には至らなかった。

 だが、それ以上に、私が「失敗だった」と考えていることがある。

 平成のデフレ消費では、製造を海外に発注し、ブランディングしたうえで、お客さまから見れば安い価格でありながら利益も取れる商品を開発するかたちがトレンドだった。安かろう、悪かろうである。20年前に私が担当していた頃も、ストッキングと今治タオルのハンカチを除けば、インナーを中心とするコンビニアパレルのほとんどが中国製造になっていた。

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