「墓じまい」で法外な離壇料を請求されたらどうする? 専門家が教える「お寺ともめない」方法
帰省し、実家でくつろぐとともにお墓参りをして先祖を供養する。お盆の風物詩だが、果たしていつまで続けられるか……。加齢などを理由に、これまで通りの墓参が困難になっている人も少なくないだろう。では、どんな選択肢があるのか。「墓じまい」のハウツーを紹介。【大塚博幸/行政書士】
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6万8000件から15万1000件――。
厚生労働省の資料によると、寺院や霊園にある従来のお墓を撤去する「墓じまい」を行い、納骨堂などに「改葬」をする件数は、2004年度から22年度の18年間で2倍以上に増えています。
私はこれまで、多くの墓じまい・改葬に関する相談を受け、サポートをしてきました。その私自身の経験でも、寺院や霊園に新たにお墓を建てるという「従来のスタンダード」を選択する人は数十人に1人いるかいないかで、ほとんどの人は納骨堂や樹木葬、散骨などを希望されます。墓じまい・改葬こそが、「現代のスタンダード」になっている印象です。
このように多くの人にとって現実的な選択肢となっている墓じまい・改葬ですが、いざ実行に移そうと考えた場合、何をすべきなのか、どんな手順が必要なのかをご存じの人は多くないのではないでしょうか。例えば、「通知」ではなく「相談」が極めて大事である、ということを。
「墓じまい」のさまざまな動機
〈こう解説するのは、行政書士の大塚博幸氏だ。
目下、「墓じまい」が“ブーム”になっているが、10年以上前から延べ数百件におよぶ葬送関連の相談を受けてきた大塚氏は、いわば“墓じまいの専門家”の先駆け的存在である。
先祖に思いをはせるお盆の時期。それは同時に、「将来のお墓のあり方」を見つめる格好の季節でもあるといえよう。本当にいまのお墓のままでよいのか、わが家のお墓はこのままでは無縁墓になってしまうのではないか――。以下は、そんな悩みを抱える人に向けた「墓じまい・改葬」のトリセツである。
『トラブルを未然に防ぐ 行政書士が教える墓じまい・改葬の進め方』の著書がある大塚氏が続ける。〉
墓じまい・改葬を望む人の動機は実にさまざまです。
・お墓が遠方にあり、高齢になったためお参りに足を運ぶのがしんどくなってきた。
・子どもがいなかったり、一人娘が嫁いだりして承継者がいない。
・法要や行事への参加といった檀家としての務めを全うすることが負担になっている。あるいは、自分たちの代は構わないけれど、子どもや孫にその負担を負わせたくない。
・一人っ子同士が結婚し、承継するお墓が二つあって大変なので、一つにまとめたい。
いずれにしても、少子高齢化の影響もあり、墓じまい・改葬がみなさんにとって「身近な問題」となっているのは間違いないでしょう。
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