「墓じまい」で法外な離壇料を請求されたらどうする? 専門家が教える「お寺ともめない」方法
無用なトラブルを生まない
しかし、「墓じまい=離檀」されるのを、多くのお寺が歓迎しないのは当然だと思うのです。なにも私はお寺の肩を持っているわけではありませんし、なかには檀家側の事情を全くくもうとしないお寺があるのも事実でしょう。とはいえ、繰り返しになりますが、お寺としては納骨の際に開眼供養(魂入れ)し、その後もお墓を管理して、守ってきたという自負を持っているわけですから、一方的に墓じまいすると「通知」されたら気分が良いものでないことは、お寺の立場になって考えてみれば理解できるのではないでしょうか。
こうした現実を踏まえれば、事前にお寺に「相談」することなく、墓じまいすることに決めたと事後に「通知」するのは、無用なあつれきを生むリスクを高めるだけなので避けるべきです。
「承継者がいなくて、このままだと無縁墓になってしまうので、墓じまいをして永代供養墓に移したいと考えているのですが、いかがでしょうか」
「年を取り、遠く離れたこちらのお寺まで足を運ぶのが難しくなってきました。どうするのがよいでしょうか」
例えばこのように、事前にお寺に相談した上で了解を得るべく上手にコミュニケーションを取る。これが、無用なトラブルを生まない現実的な対策であり、同時にそれまでお墓を管理してくれたお寺に対するマナーだと私は考えています。
払わなくても法的には構わないが……
現実的という点で言えば、仮に本心は「檀家としての務めが面倒くさくなったので墓じまいしたい」であったとしても、わざわざそれをお寺にストレートに伝えることで得られるメリットはないと思います。やはり、先のような形で相談を持ちかけてみるのがよいでしょう。
また、墓じまい=離檀に伴い「離檀料」を求められることがあり、これも墓じまいの“障害”として強調される傾向にありますが、この点についても、拒絶反応を起こすのではなく、冷静に対応することが必要です。
離檀料には法的根拠があるわけではなく、必ずしも払わなければならないというものではありません。一方、やはりお世話になってきたお寺に対するマナーであるとも考えられ、納得できる金額であれば「お礼の気持ち」として払ってもよいのではないかと私は捉えています。なにも泣き寝入りする必要はありませんが、いたずらにお寺ともめるのも得策とは思えません。
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