「墓じまい」で法外な離壇料を請求されたらどうする? 専門家が教える「お寺ともめない」方法
弁護士以外に依頼すると違法行為に該当
離檀料の金額に関して相場というものはなく、数十万円程度が最もポピュラーかもしれませんが、中には数百万円、あるいはそれ以上の金額を求められたというケースもなくはありません。あまりに社会常識から逸脱し、法外で承服しかねる金額であれば、国民生活センターや消費生活センター、あるいは弁護士に相談するのがよいでしょう。
最近では、石材店や終活カウンセラーなどが、「離檀交渉も請け負います」などとうたっているケースがあります。「墓じまい=離檀」のやりとりをお寺と行うのは面倒だと思い込み、そうしたところに飛びつく人もいるのでしょうが、離檀交渉は非弁活動にあたる可能性が高く、弁護士以外の人が報酬を得て行う場合は違法行為に該当すると考えられますので十分に気を付けてください。
なお、これまで私が相談に乗ってきた中で、当事者同士の話し合いがうまくいかず、弁護士を紹介するまでに至ったのはわずか3~4件です。従って、離檀交渉を過度に恐れる必要はありません。
お参りのしやすさも重要
離檀料を除くと、墓じまいにかかる費用は、お墓の撤去費用が20万~50万円程度で、その他に閉眼供養(お墓に宿っている故人の魂抜き)のお布施などで3万~5万円程度が必要となります。改葬に関しては、改葬先での開眼供養のお布施などがやはり3万~5万円程度かかり、あとは新たな埋葬形式によって費用が生じ、例えば納骨堂であれば30万~200万円が相場です。
さて、先に(1)~(10)の手順が大切と記しました。例えば、お寺に事前に「相談」せず「通知」したがためにもめ、「(2)(お墓のある寺院や霊園から墓じまいの了解を得る)」が片付かないうちに、「(5)(改葬先を決める)」を進めてしまったとします。すると、改葬にあたっては、改葬元のお寺がある自治体に改葬許可申請書を届け出なければならないのですが((7))、そこには改葬元のお寺の記名などが必要であり、墓じまいを了解していないお寺から記名してもらえず、改葬先との契約を済ませていても事が運ばないという事態が起こり得ます。そのため、手順が大切になってくるわけです。
改葬先を決めるにあたってのポイントは、予算はもちろんのこと、利便性、お参りのしやすさも重要です。現在、納骨堂が人気になっている理由の一つに、霊園などのように広い土地を必要としないため街中にある場合が多く、お参りに行きやすい点が挙げられます。
利便性は、なにも距離だけに限りません。お墓がある寺院や霊園に行くことが距離的には問題ないとしても、そこが丘の上にあったり、階段を上らないとたどり着けない場所にあったりすると、高齢者は実際にお参りするのが困難になるケースが少なくありません。ですから立地環境も注意してください。
また、施設も重要です。寺院や霊園内にトイレがあるか、お線香やお花が売られているかといった点もチェックする必要があるでしょう。やはりとりわけ高齢者は、いちいち別の場所の花屋さんに寄って花を用意したりすると、お参りするだけで疲れてしまいますので。
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