体力が10歳若返る魔法の運動「インターバル速歩」とは? 生活習慣病の指標は20%改善

ドクター新潮 ライフ

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この100年の方がイレギュラー

 最後に、それでもそうした“努力”までしてインターバル速歩にチャレンジするのは難しそうと感じてしまうという人に向けて、「進化」の話をしたいと思います。

 私たちの祖先は、長らく狩猟や採集をすることで生き延びてきました。動物を追って走ったり、木の実を採るために木に登ったりという、ある程度の運動強度を伴う活動をすることで食糧を確保してきたのです。つまり、それらの作業をできる人が生き残るという進化を遂げてきたのが私たち人間なのです。

 こうした進化に反して、運動強度が低い活動だけをしていても生きていけるようになったのは、せいぜい鉄道や自動車が普及し始めたほんの100年くらい前からでしょう。人類の歴史を考えれば、この100年の方がイレギュラーなのです。つまり、インターバル速歩程度の強度の運動は、昔の人にとっては当たり前のことであり、本稿の最初で触れた通り、本来は「人間としてごく普通の運動」なのです。

 人間として当然の運動を日々の生活に取り入れるだけなのですから、「インターバル速歩なんて無理、そんなに頑張れない!」という人はいないはずなのです。

能勢 博(のせひろし)
信州大学医学部特任教授。1952年生まれ。京都府立医科大学医学部卒業。医学博士。米国イェール大学医学部博士研究員、信州大学学術院医学系教授(疾患予防医科学系専攻・スポーツ医科学講座)などを経て現職に。専門は体力医学、環境生理学。『ウォーキングの科学』『いくつになっても自分で歩ける!「筋トレ」ウォーキング』などの著書がある。

週刊新潮 2025年6月19日号掲載

特別読物「研究と実証に基づく『ちょっと工夫したウォーキング』 『インターバル速歩』の超健康効果」より

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