体力が10歳若返る魔法の運動「インターバル速歩」とは? 生活習慣病の指標は20%改善

ドクター新潮 ライフ

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けがのリスクは極めて少ない

 実際、デイケアサービスに通う要介護1~2の75歳以上の人を対象に、つえを突いたり、手押し車を押したりしながらでも構わないので速歩を行ってもらったところ、膝の伸展筋力が10%近く上昇したり、認知機能の改善が感じられたりといった実証結果が出ています。平たく言えば、どんなに体力が落ちていても、“その人なり”に70%の力で頑張ればいい。インターバル速歩による高血圧の症状改善は、低体力の人ほど顕著であるとの結果も出ていますから、やはり高齢者だからといってインターバル速歩をやらない手はないのです。

 なお、ちょっとキツい運動にはけがのリスクが伴うのではないかと考える人もいるようですが、運動によるけがは得てして無茶をする時に起きます。無茶とは、全く運動していないお父さんが子どもの運動会で久しぶりに全力疾走をして肉離れを起こすように、“良い成績”を残していいところを見せようとする時にしてしまうものです。インターバル速歩はタイムや得点を競う運動ではありませんので、けがのリスクは極めて少ないといえます。

インターバル速歩は裏切らない

 このように、インターバル速歩は高齢者や体力のない人でも安心して、気軽に取り組める運動です。ジムに通ったり、腕立て伏せやスクワットなど自重トレーニングを黙々とこなしたりするほどの“根性”は必要ないわけですが、一方で、それなりに「継続する力」が求められます。実際、インターバル速歩を始めてから、体力や血液成分など、客観的な健康数値に結果が出るには数カ月かかります。

 では、どうやったらインターバル速歩を継続させることができるのでしょうか。コツは3点あります。

 まずは「自己比較」です。筋肉は裏切らないという言葉がはやりましたが、それに倣(なら)えばインターバル速歩もまた裏切りません。まず、2週間たつと太り気味の方なら体重が減り、血圧が低下し始めます。そしてそれに伴って、夜よく眠れるようになり、仕事のストレスにも強くなります。世の中、努力しても報われないことは少なくありませんが、インターバル速歩の努力は必ず報われます。「かつての自分」と比較して「いまの自分」は違うということが感じられると、人間はそれにハマります。ですので、だまされたと思ってまずは2週間続けてみてください。

 2点目は「他者比較」。配偶者でも誰でもいいので、一緒にやってくれる人がいると、どちらかがサボろうとした時の支えになってくれます。

 そして3点目は「仲間づくり」です。他者比較を拡大し、職場やサークルなどで「インターバル速歩仲間」をつくると、メンバーから抜けたくない、みんなと一緒に楽しみたいというモチベーションが生まれてくると思います。

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