体力が10歳若返る魔法の運動「インターバル速歩」とは? 生活習慣病の指標は20%改善

ドクター新潮 ライフ

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“ちょっとキツい”を基準に

 しかし、ダラダラと歩いただけでは、体液を増やすホルモンの分泌が促されず、全身に循環する血液量は増えません。そのため、全身により多くの血液を行き渡らせることができず、体力は向上せず、疲れにくい体にはならないのです。

 それでは、血液量を増やすには何が必要なのかといえば、運動強度です。体にある程度の負荷をかけることで、初めて血液量は増え、体力が高まるのです。

 そして、個人の最大体力の70%の速歩が効果的な負荷としての役割を果たしてくれます。具体的には、2分以上歩いた時に“ちょっとキツい”と感じた際の運動強度がちょうど個人の最大体力の70%に相当します。“ちょっとキツい”は、何とか会話をしながら歩ける速歩と言い換えることもできます。

 このちょっとキツい速歩によって下肢の筋力および持久力が鍛えられることで、体力は向上するわけですが、速歩をすると筋肉で乳酸が産生されて、息切れや筋肉痛を起こし、だから、キツいと感じるわけで、運動に対するモチベーションの高いアスリートでもなければ速歩を続けるのは至難の業です。そこで、速歩の後にゆっくりとした歩きを挟み、筋肉から乳酸が流れ出て、再び筋肉に力を取り戻させる必要があります。ちょっとキツい速歩とゆっくり歩き、これを繰り返し、良好な血液循環が生まれることなどによって健康な体をもたらしてくれる、それがインターバル速歩なのです。

細胞膜の“窓”

 速歩を3分して、ゆっくり歩きも3分する。これが一つの目安です。「1分+1分」でも「5分+5分」でも構わないのですが、一定強度の運動を開始してから、心拍数が上がり、息が切れて「ちょっとキツいな」と実感できるまでに2分ほどのラグがあります。また、ちょっとキツいと感じ出してからその後何分も歩き続けるのは、普通の人にはしんどい。そこで、私は「3分+3分」を分かりやすい目安として推奨しているのです。

 速歩をする際の最大のポイントは、大股で歩くことです。背筋を伸ばしたり、腕を大きく振ったりと、細かく言えば速歩のフォームで気を付けたいところはいくつもありますが、何よりも大股で歩けば、自然と腕も振れてきますので、とにかく大股を意識することが肝心です。

 付け加えると、インターバル速歩を終えてから30分以内に牛乳を1~2杯飲んだり、ヨーグルトやチーズを摂取したりするとより効果は増します。運動終了後30分くらいまで、消費したブドウ糖などのエネルギーを補給しようと筋肉の細胞膜の“窓”が開いた状態になります。そのタイミングで、良質なタンパク質などが豊富な乳製品を取ることで、開いた窓から細胞に栄養素が入り込んでいき、効率よく筋肉を大きくすることができるのです。

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