「グルコサミン」「コンドロイチン」は無意味? ひざ関節痛の最新治療法とは

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保険適用で費用面の心配は少ない

 支援ロボットの登場で、外科医の“神の手”は不要な時代に突入しつつあるのだ。

 気になるのは治療費。最新鋭のロボット医療ともなれば、かなり高額になりそうなイメージだが……。例えば、国民皆保険制度のないアメリカだと、ロボットを使わない手術でも、人工股関節の置換術に約200万~300万円かかるといわれている。だが、「Mako」は、日本ではすでに先進医療から外れて保険適用となっているため、費用面をそこまで心配する必要はない。

 また高額療養費制度を利用すれば、たとえば年収が370万~770万円の人であれば、約10万円で手術を受けられる(検査費や入院費は別)。自己負担額は決して高額ではなく、今後、支援ロボットの有効性が知れ渡れば、ロボット手術を希望する患者が増えていくはずだ。

「患者さんの中には、20年も30年も関節の痛みに悩まされてきたという人がいます。そういう方が人工関節置換術を受けて歩けるようになったり、痛みが取れたと喜んでくれていたりするのを見ると、医者冥利に尽きます。不自由なく歩けることが体の健康だけでなく、心の健康にもつながるんです」

 また「変形性関節症」は歩くのが億劫になるため将来的に高血圧症になったり、過体重になったりするリスクも高いといわれる。人生の後半戦を充実したものにするには、なにより日常生活を健康に送れる「健康寿命」を延ばすことだ。そのためには、体を支えるひざや股関節の状態が重要なのは言うまでもない。

「『変形性関節症』にならないためには、まずは適度な運動と体重管理が不可欠。手術は有効な治療ですが、その前にできることもいろいろあるはずです」

 と、あらためて訴える水島医師。

 痛みや違和感がある人はできるだけ早く検査を受け、医師に相談をした上で適切な治療を始めたい。地球の重力を逃れて生きることができないからには。

芹澤健介(せりざわけんすけ)
ライター。1973年、沖縄県生まれ。横浜国立大学卒。編集者、構成作家として活動し、NHK国際放送の番組制作にも携わる。著書に『コンビニ外国人』、『血と水の一滴 沖縄に散った青年軍医』、『死後離婚』(共著)など。

週刊新潮 2021年11月18日号掲載

特集「毎年190万人発症 潜在患者3千万人 『グルコサミン』『コンドロイチン』を飲んでも意味なし 『ひざ関節痛』の最新治療法」より

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