「グルコサミン」「コンドロイチン」は無意味? ひざ関節痛の最新治療法とは
「まず手術」ではない
では、せめて「変形性関節症」の進行を防ぐ術はないのか。
「加齢は止められませんので、まずはそのほかの原因をなるべく取り除いてあげることが大切です」
と、水島医師は説く。
「たとえば、体重に関してはある程度のコントロールができるはず。私自身、若い頃にラグビーをしていたこともあり、一番重い時で85キロぐらいあったのですが、患者さんのいいお手本になれるよう一念発起して20キロ近く痩せました。なるべくひざや股関節に負担をかけないよう、適度なダイエットは必要だと思います」
有効な対症療法として考えられるのは「運動療法」「薬物療法」「手術療法」の三つだそう。
「私は外科医ですが、なんでもかんでも切りましょうとは考えていません。患者さんの中には、理学療法士と一緒に適切な運動をすることで痛みが和らぎ、症状が劇的に改善する方もいます。抗炎症剤や湿布、関節注射などで効果を得られるケースもある。それから、四つめの選択肢として『装具療法』も考えられます。軟骨がすり減った部分に体重がかかりにくくするために、靴の中敷を作ったり、ひざにサポーターを巻いたりして経過を見る。そのような“保存的治療”のフェーズも非常に大切だと考えています」
水島医師が薦めるのは、まずは保存的治療を試し、それでも症状が改善しない、痛みがとれないのであれば手術を考える、という手順である。
手術に関しては推奨しうるアプローチが大まかに二つあるとのこと。
関節を構成する骨の一部を切り、関節面の角度を微調整して、ひざや股関節への負担を小さくする「骨(こつ)切り術」と、損傷した軟骨などを削り、金属などでできたインプラントと置き換える「人工関節置換術」だ。
双方にメリットとデメリットがあり、人や病態によって薦める術式は変わってくるという。
「『骨切り術』は、切った骨を癒合させるために金属のプレートやボルトを使って固定します。術後しばらくは体重をかけられず、期間がどうしても長くなります。しかし、骨が一度くっついてしまえば、金属は取り除くことができ、体内に異物は残りません。術後スポーツにおける制限もないことから、比較的若い方やスポーツをされる方に向いています」
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