「グルコサミン」「コンドロイチン」は無意味? ひざ関節痛の最新治療法とは

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人工関節置換術

 もう一方の「人工関節置換術」は、インプラントに耐用年数があり、およそ15~20年といわれるが、メリットも大きい。痛みから解放されるばかりか、関節の動きもスムーズになる。

 手術後は1~3週間で歩けるようになって、入院リハビリ期間も「骨切り術」より短くて済む。骨が変形してひどいO脚になっていても、まっすぐに伸びる。姿勢はよくなり、ADL、QOLとも改善が見込める。

 関節全体を人工関節に置き換える「全置換術」の場合、インプラントは、骨に固定される金属の部品、そして軟骨の代わりとなるポリエチレン製のパーツなどで構成される。

 近年は製造技術や材質が向上し、ポリエチレンの摩耗の心配が少なくなった。また手術手技の一般化や人口の高齢化もあいまって、「人工関節置換術」は年々、右肩上がりの増加傾向にあり、ひざ関節の置換術は2006年には年間5万件程度だったものが、現在は倍の10万件を超えている(股関節の置換術も年間約7万件を数える)。

 ただ、これまでは無視できないデメリットもあった。

「合併症が生じるリスクのほかに、“神の手”と呼ばれるような高度な技術を持つ外科医の腕をもってしても、人の手だけで行う従来の人工ひざ関節置換術では、25%以上の症例で術前計画から3度以上のアウトライヤー(外れ値)が生じるという報告があるんです」

心強い「ロボット」

 具体的には、例えば患者の体を正面から見て、脚の軸がまっすぐ180度になるようなインプラントの設置を目指しても、実際の取り付け角が175度になったり、184度になったりと、わずかにズレてしまうことがあるというのだ。

 ズレが大きくなれば、破損や再置換術(再手術)などのリスクも大きくなる。ある報告によれば、さまざまな論文を評価したデータでも、30%程度の割合でそうした“設置不良”が起きていたとか。これではせっかくインプラントの性能が向上しても、肝心の医師による手術が足を引っ張りかねないわけで、患者は途方に暮れるほかない。

 かつてはベテラン医師でさえ思うに任せなかった施術だそうだから、なおさら尻込みしてしまう人も多いはず。こうした人為的なズレをなくすには、どうすればいいのか?

 そこで今、多くの医療関係者から熱い視線を集めているのが、最新鋭の手術支援ロボット「Mako(メイコー)」である。

 がんなどを切除する内視鏡手術の支援ロボットとしては、「ダヴィンチ」や国産の「ヒノトリ」が有名だが、米医療器具メーカーのストライカー社が提供する「Mako」は、整形外科の領域において日本初となる支援ロボットである。

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