フランスでコロナワクチン接種希望者が他国に比べ圧倒的に少ない理由
2月2日、フランスのマクロン大統領は「夏の終わりまでに、希望する全てのフランスの成人にワクチンが接種可能」と発言しました。
政府は1月23日、新型コロナワクチン接種キャンペーンの第1目標「100万件接種」を達成。2月15日の時点で300万件のワクチン接種が行われ(そのうち約72万件は2回目の接種)、8月末までに全人口へのワクチン接種を目標にしていると報じられています。
オリヴィエ・ヴェラン連帯・保健大臣も「8月末までにフランス国民全体(7,000万人)に接種できる」と述べていますが、「最終的に国民のワクチン接種率はあまり高くならない」という声が聞こえてきます。
それというのも、フランスは歴史的に「ワクチン不信」が根強く、「アンチワクチン活動家」もいるなど、ワクチンに否定的な層がかなり存在するからです。
フランス政府のワクチン戦略と国民の反応
昨年11月末、フランスの高等保健機構(HAS)はワクチン計画における5つのフェーズを下記のように発表しました。
・第1フェーズ(1月~2月)
ケアホームの入居者や、50歳以上の介護従事者、医療従事者、消防士、リスクを抱える人に優先的に接種。1月18日からは、自宅に住む75歳以上の人にも接種を開始
・第2フェーズ 3月以降
65歳以上74歳までの人を対象
・第3フェーズ
年齢に関わらず、基礎疾患を持つなどリスクの高い人を対象
・第4、5フェーズ
18歳以上に幅広くワクチンを接種
*原則、ワクチンは強制ではなく、全国に1,157箇所あるワクチンセンター(2月5日時点)などで無料で接種しています。
ところが、政府の計画とは裏腹に、フランスの世論調査でも「ワクチンを受ける」という人は他国に比べて圧倒的に少ないのです。
1月始め、マーケティング・リサーチ会社のIPSOSは、日本を含む世界15か国で行った新型コロナウイルスワクチンアンケートの結果を公表。その中で「フランスは最もワクチンを望んでいない国」としています。例えば、中国では80%がワクチンを「強く希望する」もしくは「まあ希望する」と答え、英国やカナダなど6か国でも70%以上が希望していたのに対し、フランスではワクチンを希望する割合は40%に過ぎませんでした。
1月末、再度同じ調査が行われましたが、トータルの希望割合は54%に増えたものの、15か国中では下から3番目(1番ワクチンを望まないのはロシア、次が南アフリカ)でした。「強く希望する」と答えた人も29%で、ブラジルの68%、英国の66%と比べて半分以下という結果でした。
私も周囲にいる20代から40代のフランス人にワクチン接種について尋ねたところ、全員が口を揃えて「自分は接種するつもりはない」と答えました。
理由として、
「自分はワクチンを打つには若すぎると思う」
「製薬会社が信頼できない」
「ワクチンができるのが早すぎて副作用などの安全性が心配」
「リスクになるような基礎疾患がないから」
といったことを挙げていました。
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