フランスでコロナワクチン接種希望者が他国に比べ圧倒的に少ない理由

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アンチワクチン活動家

 こうしたワクチン接種による事故の影響もあり、コロナ禍以前からフランスではアンチワクチン活動家が存在します。

 活動家と聞くと過激なイメージですが、最近は、コロナウイルスに関する政府やメディアのウソや陰謀がある、という説をFacebookやYouTube、SNSなどで広めるインフルエンサーを指すこともあります。例えばフランスのジャーナリストでもある、ピエール・バルネリアス監督が公開した「HOLD-UP」という動画は、Covid-19はインフルエンザのようなもので、一連の非常事態宣言などは腐敗したエリート層が世界をだましている、という内容です。集団予防接種も大きな過ちとなるだろう、と主張しています。他のメディアに、動画の内容は偽りであると批判されていますが、「HOLD-UP」はSNSで拡散され、YouTubeでは合計250万回以上視聴されています。

自然療法が浸透しているフランス

 フランスで歴史的にワクチンに反対してきた人達は、ワクチンによって健康被害を受けた人、その家族、生物学者、菜食主義者などと多様です。とはいえ、この国でワクチンに否定的な人が多いのは、何より、フランスに根付くホメオパシーなどの「自然療法」の影響が大きいと思います。

 フランスでは日本でいう「自然療法」、「代替療法」を利用する人が多く、薬局やオーガニックスーパー、食料品店などでたくさんの商品が売られています。

 例えば、ホメオパシーは、西洋医学の「対症療法」とは逆で「同種の法則」を適用したものです。つまり、熱が上がったら下げる、というのではなく、「同じく熱を上げる症状を起こす物質を超微量希釈し、体内に取り込むことで自然治癒力を活性化させる」のです。

 発熱や悪寒、頭痛、筋肉痛などインフルエンザの初期症状に使用される「オシロコシナム」というホメオパシーは、TVCMも見かける有名なもので、フランスでは誰でも知っていますし、どこの薬局でも売られています。私も使用したことがありますが、個人的には効果があると感じています。

 カモミールのホメオパシーを赤ちゃんの夜泣き対策に使用する母親も多いですし、花粉症対策にホメオパシーを使用する、という人もいます。「コロナウイルス」とは明言されていないものの、「ウイルス対策」、「免疫力を高める」というホメオパシーも販売されています。

 植物を抽出したエッセンシャルオイルは、アロマテラピーで用いられるだけでなく、殺菌、抗菌、抗ウイルスの効果があるとされています。手指消毒用のアルコールジェルの代わりや、部屋の空気を浄化するディフューザーとしても人気があります。ティーツリー、ラヴィンツァラのエッセンシャルオイルは、2003年にSARSの流行を引き起こしたコロナウイルスへの抗ウイルス活性が報告されています。

 身近な薬局などで手軽に入手できる自然療法商品の豊富さに、日本から来た旅行客は驚かされることもよくあります。つまり、リスクのあるワクチンを打つより、自然治癒力や自己免疫力を高める自然療法で感染を防止しようと考える人も少なくないということです。

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