「#KuToo」石川優実さんが勤務先を突き止められ退職に追い込まれても潰れない理由

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 気鋭のライター・姫野桂さんが「女性の生きづらさ」について綴る連載「『普通の女子』になれなかった私へ」第9回。「仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたい」とTwitter上で「#KuToo」というハッシュタグを発信し、署名を立ち上げたグラビアアイドル・女優・ライターの石川優実さんを取材しました。ネット上でのバッシングは熾烈を極め、ついには勤務先の葬儀社を突き止めようとされ、やむなく退職に追い込まれた石川さん。それでも彼女が#KuToo運動をやめない理由とは?

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女性や芸能人が社会問題について発言してはならない?

 グラビアアイドル、女優、そしてライターとして活動している石川優実さん。前回はグラドル界の裏側について語ってもらったが、今回は#KuToo運動や、女性や芸能人が社会活動をすることへの世間の冷たい視
線について切り込みたい。

 現在、石川さんは「足を痛める可能性のあるパンプスの強要をなくしたい」と#KuToo運動を行っており、様々なメディアに取り上げられている。しかし、パンプスとヒールの違いがわかっていなかったり、「ヒールを好きで履いている人もいるんだ」「接客業において、マナーとしてどうなのか」と、曲解している人も多く見受けられ、この問題はより複雑化しているように思える。特に、ネット上での石川さんへのバッシングはひどい。

 単純に「パンプスで健康被害を被る人もいるので、履きたくない人には履かなくてもいい権利をください。労働する上で男女平等の権利をください」と至極シンプルな訴えであるにもかかわらず、なぜか話をすり替えられてしまっている。好きでパンプスやヒールを履いている人の権利を奪っているわけではない。

 痴漢問題を訴えた被害者に対して必ず「冤罪ガー」という連中が沸く構造にも似ている。「いやいや、確かに冤罪はあってはならないことです。でも今は、痴漢被害の話であって、冤罪の話はまた別ですよ」と言いたくなる。

 また、中には「自分は男だけど痴漢されたことがある。その際、きちんと『やめてください』と言いましたよ」と、ドヤる人を見かけたこともある。「それは災難でしたね、そして、やめてくださいと言えてよかったですね。でも今は、怖くて声を上げられない人の話をしているんですよ」と言いたい。

 個人的にはTwitter上でバッシングと戦う石川さんのメンタルが心配で、相手にしなくてもいいのでは? と問いかけたところ「元々ケンカが好きですし、お互い何も言わない状態の方が気持ち悪いので」と、飄々とした表情で答えた。

「彼らは男女差別の話題になると、なぜか自分が攻撃されている気になってしまうんですよね。このあたりは認知の歪みでしょう。ローラさんや東ちづるさんが政治的な発言をした際、バッシングされたことがありますよね。杉本彩さんも動物愛護の活動をされていますが、個人事務所に所属しているため、少しはバッシングから逃れられる位置にいます。

 女性や芸能人が社会問題について発言してはならないという法律はないのに、なぜ叩かれるのか分からないです。海外などでは、タレントが政治的発言をしたり、支持している政党を表明したりしても、特に何も悪いこととされません。芸能人が本来言いたいことを言えない今の世の中に危機感を抱きます」

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