風疹よりも怖い寄生虫「トキソプラズマ」母子感染 “生肉”“土いじり”に注意、治療薬は

ドクター新潮 医療

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 風疹の母子感染はワクチン接種で予防できるが、「トキソプラズマ症」は、胎児に風疹よりも重篤な障害が出る可能性を孕んでいる。

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 女優の佐々木希が女子会でローストビーフを食べたとインスタ投稿。宮崎あおいは、家庭菜園で土いじりをしていると女性誌が報道。

 彼女たちは、妊娠を公表して間もなかったことで“妊婦としての意識が低い”と一部で非難された。トキソプラズマに感染したらどうするのか、と。

 一般にはさほど馴染みがなく、ほとんどの方がこのトキソプラズマという寄生虫のことをご存じないだろう。しかし実は、世界人口の3分の1、日本では4千万人が感染しているとされるのである。

 なぜ妊婦にとって、ローストビーフや土いじりが危険なのか、簡潔に記したい。トキソプラズマに感染しても、健康な成人や小児はほとんどが無症状だが、妊婦がかかると、胎児の脳機能などに重篤な影響が出る可能性を孕むのだ。

 寄生虫はおもに、猫のフンや生肉、加熱不十分な食肉に含まれている。飼い猫のトイレ掃除や砂場遊び、洗浄不十分な野菜や果物を介して人体内に入り、発症する。

 1908年に発見され、70年ころから生殖過程が明らかになってきたトキソプラズマ。では、この寄生虫のなにがどう怖いのか、順に記していこう。

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