風疹よりも怖い寄生虫「トキソプラズマ」母子感染 “生肉”“土いじり”に注意、治療薬は

ドクター新潮 医療

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生涯にわたる保虫者

「トキソプラズマは、哺乳動物の細胞に寄生する“原虫”です。三日月形で、幅が2~3ミクロン、長さが5~7ミクロン。人間の血球が10~20ミクロンほどですから、ひと回り小さい。当然、肉眼では見えません」

 と、国立感染症研究所の永宗喜三郎氏が語る。

「人への感染経路は、大きく分けて二つあるとされます。一つは、猫のフン。トキソプラズマは基本的に無性生殖で増えていくのですが、ネコ科動物の腸管内でだけ有性生殖を行い、その後、フンに混じって外界に排出され単独で何年も生き続ける。そのフンが、なんらかの形で口から体内に入って感染します。もう一つは、生肉。以前は豚肉が危ないとされていましたけれども、最近ではどんな種類も危険という結論が出ています」

 人に感染したときには、

「口から腸に到達して吸収され、血管やリンパ管を通って全身へと行きわたります。その過程で人の体内ではトキソプラズマに対する抗体ができる。するとトキソプラズマは自らを安定した壁で覆ってしまい、そのなかで緩やかに増殖するのです。この状態になると抗体も攻撃できず、薬も効きません。だから、一度感染すると生涯にわたって保虫者となるのです」

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