「肺がん」治療法を提案、「子宮頸がん」「乳がん」への取り組みも AIが切り拓くがん治療の最先端

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AIが切り拓く「がん治療」の最先端(4)

 2人に1人が罹患する「がん」の中でも、部位別死亡率1位という疫病神が「肺がん」だ。ほとんどの患者に初期症状がなく、気づいた時には手遅れ。そんなケースが多々みられるが、AIで早期発見を目指す試みが始まっている。

 今年4月、横浜で開かれた国際医用画像総合展で発表されたのが、次世代型の肺がん診断システムだ。

「通常の検診では、患者さんのCTスキャン画像から肺がんを拾い上げる。それをAIがアシストします」

 とは、日立製作所診断システム事業部の白旗崇GL主任技師である。日立はCTMR装置を製作する中で、ここ20年ほど肺がんに関する研究も行ってきた。

「医師の皆さんは、1例あたり100枚から200枚の画像を見ます。非常に時間を費やし、かつプレッシャーのかかる仕事で、1日に50例以上をこなす先生がいるそうですが、やはり人間ですから見落としはあります」

 そのため、AIの利点は休まず働けてブレない点だと白旗氏は続ける。

「今まではお医者さんが手動で線を引くか、サイズなどを目測していた部分を全て自動化し、レポートまで作成してくれる。画像を入れてからの処理時間は、開発途中の現段階で数分から10分ほど。ドクターが診断する場合は1分から4分程度と、熟練した医師と比べればまだ遅いかもしれませんが、今後は肺の中でも心臓に近い部分など、医師が見落としやすい部分でも、検出できる可能性はあります」

 まさに夢のような道具だが課題はまだ多いという。

「肺がんの特徴を覚え込ませるため、10万枚ほどの画像を取り込みましたが精度を上げるにはまだもう少し。あまり悪いデータを学習させるとAIの性能が落ちてしまう。ドクターの診断がついた、肺がんを含む良質なデータを何度も教え込む必要があるのです。検出した領域の特徴をもとに、確定診断に回したり数カ月後に再診するかどうかを提案するレポートを、自動で出すことを目標にしています」

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