“タバコ1箱1300円” 「仏マクロン大統領」新政策の成否

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 タバコ1箱1300円!

 6月の下院選挙で大勝利した仏のマクロン政権が、早速打ち出した新政策だ。

「毎年8万人がタバコ関連で死亡しているとフィリップ新首相が国会で演説。『何もしないという選択肢はない』と値上げを打ち出しました」(外信部記者)

 もちろん財政赤字の穴埋め策でもある。現在、ジタンなどの代表的銘柄が20本入1箱7ユーロ(1ユーロ=約130円)。それを10ユーロへ約40%もの値上げとは……。

 今でも欧州平均より2ユーロほど高い。人口の約4分の1の喫煙者も、これでは黙っていられまい。

「それが、意外に大きな話題にはなっていません」

 と話すのは、在仏ジャーナリストの広岡裕児氏。

「仏では歩きタバコもポイ捨ても多いし、未成年者の喫煙も普通ですが、一方で屋内喫煙は絶対厳禁。喫煙文化が日本と違うので分かりにくいかもしれませんが、カフェでもテラスなら喫煙OKだったりするのは、ようするに受動喫煙の防止が重視されているのです」

 この流れが、近年はついに喫煙者自体の健康重視へと向かう。タバコのパッケージも、昨年から喫煙の害を大書したかなりえげつないデザインに統一されている。

 しかし、そうなると懸念されるのは密輸や密造だ。

「貧困地区では粗悪な密造品が以前から出回っていますが、それこそ体に悪いので手を出す人は限られます。ただ、タバコの安いスペインなどから制限量を超えて持ち込むくらいは、普通の人でもこっそりながら結構やっています」(同)

 だが、さらに価格差が広がれば組織犯罪を育てることにもなりかねない。

 単純な増税案と思いきや、新政権の政策能力をはかる試金石となりそうだ。

週刊新潮 2017年7月20日文月増大号掲載

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