不倫相手と暮らしている間に、自宅の「レコード」「鉄道模型」を勝手に売られた…「妻を訴えたい」50歳夫の怒りと葛藤
「娘が、友だちの家にお泊まりなの」
こんなことになるなら、本当に浮気をしてしまえばよかったと彼は心の中で思い、自分がそんなふうに思っていたことに驚いた。千春さんに、正直にメッセージを送った。妻が疑惑をもっている、だけど僕はあなたと会い続けたい。身勝手なのはわかっているが、これからも今まで通りつきあってもらえるだろうかと。
「すると彼女から、『今の関係のままでいいの?』と返信が来ました。続けて『私は浮気が本気になってもいいんだけど』って。僕なんかきみの相手にはふさわしくないよ、年上の友だちだと思ってくれればいいと書いたら、『私はあなたが好き』って。からかわれているんだと思いました」
だが次に会ったとき、彼女は「今日は娘が、友だちの家にお泊まりなの」と言った。彼は膝がガクガクしたという。「あなたさえよければ、うちでコーヒーでも」という言葉にふらふらと乗った。
「熱い熱い夜を過ごしました。幸せだったし、この気持ちのまま死んでもいいとさえ思ってしまった。でもいざそういう関係になってみると、今後、どうしようとよけいに苦しくなった。彼女とは別れられない、むしろ一緒にいたい。だけど子どもたちとの接触がなくなるのもつらい。どちらかを選ぶなんてできない話だと思いました」
そう言いつつ、だんだん千春さんの家にいる時間が長くなる。彼女の娘も大喜びで、毎日、遊び相手にさせられた。それが苦でなかった。苦でないどころか、彼は自分の娘より千春さんの娘に親近感を覚えるようになっていった。
どんどん増えていく外泊…長男だけが味方に
身の回りのものを少しずつ運び出しては千春さんの家にいる時間が延びていった。月に1度の外泊が、週に1度となり、週に半分となっていく。このままではいけない、白黒はっきりつけなければと思ったが、自分から妻に言い出せない。
「自宅では針のむしろみたいなものでしたけどね。妻も娘も次男も僕のことは完全無視。なぜか大学生になった長男だけが普通に話してくれました。『おとうさん、好きなようにしたほうがいいよ』と言ってくれた。『昔、僕が苦しかったとき、おとうさんが旅に連れ出してくれたでしょ。あれ、本当にうれしかったよ』と。ああ、長男には伝わっていたんだとホッとしました」
翌日、出勤するとき妻がポツリと言った。「いいわよ、帰ってこなくて。お金だけ入れて」と。腹を決めて2ヶ月ほど帰らなかった。離婚してもしなくてもいい。千春さんと娘との暮らしは楽しかった。
「子どもたちが小さいころを思い出したけど、あのころから僕は沙梨といるのが苦痛だった。でも千春といるときはそうではない。今回は結婚しているわけでもなく無責任な同棲みたいなものだし、相手が若いから許せる部分も大きいのかなと思ったんですが、決定的に違うのは相手の態度だと気づきました。千春は自分でいろいろ決めて生活していく。僕の意見が聞きたいときは、はっきり意見を聞きたいと言う。沙梨はそうではなかった。自分の希望はあるのに、そうとは言わず、僕が彼女の希望に添うような決定をする方向へ仕向けていく。いつも操縦されているような不快感があった。でも千春は違う。ずっとシングルマザーだったせいもあるのかもしれないけど、自分で人生を切り開いている。そんな気がしました。それに何より娘への対応が本当に見ていて微笑ましい。娘の自立心を阻害せず、的確なアドバイスをしているんですよ」
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