不倫相手と暮らしている間に、自宅の「レコード」「鉄道模型」を勝手に売られた…「妻を訴えたい」50歳夫の怒りと葛藤
「娘がおじさんに会いたいって」…何が目的なのか
彼女は非正規で働いていた。いつ首を切られるかわからない。そうなったら食べていけないという恐怖感もあるが、「この子と一緒なら何があってもやっていける」と笑顔を見せた。
「若いのにこんなふうにがんばっている女性がいることに心を揺さぶられました。娘も本当にかわいくて無邪気で、彼女が愛情をたっぷり注いでいるのがよくわかった。娘はニコニコしながら『おじさん、うちに来る?』なんて言いだして。今日はむずかしいんだ、また今度ねと言ってしまいました」
料理の代金は彼が払った。千春さんが「ここは私のお礼ですから」と出そうとしたのを無理やり制した。「もしまた会えたら」と言いかけて、彼はふっと自分の年齢を思い出した。二回り近くも年上の男に、若い彼女が会いたいはずもない。
「そこはさらりと、また何かあったら連絡くださいと別れました。でも彼女はまた1週間後に連絡をくれた。『娘がおじさんに会いたいって言ってるんですが、私もお会いしたいんです』と。僕は金づるになるほどお金持ちではないし、外見だっていいわけじゃない。何が目的なんだろうと思いました」
「父親の影を見ているのかも」
2度目に会ったとき、千春さんは「何が目的だろうって思ってますよね」と彼の気持ちを見抜いていた。彼女は幼くして父親を亡くしていた。その後、母が再婚し、彼女は母方の祖父母に育てられたのだという。
「祖父母はかわいがってくれたけど、やはり私は両親がいる家が羨ましかった。娘にはそんな思いをさせたくなかったのに、こんなことになってしまって。あなたに父親の影を見ているのかもしれません。ご迷惑ですよね」
彼女のその言葉に、武龍さんは「そんなことはない。むしろ光栄です」と笑った。どういう関係になるのか予測がつかなかったが、彼の中では情熱的な思いがたぎっていた。若いころから恋愛にはそれほど興味もなかったし、独占欲など感じたこともなかったのに千春さんに対しては初めての感情が入り乱れた。
「ただ、当然、僕からは踏み込めない。僕にだって子供がいるし、向こうにも娘がいるし、必要以上に仲よくなってはいけないとも思った。でも千春は、とにかくフレンドリーで僕に心を開いてくる。いったい、どうすればいいんだ、これ以上、僕を苦しめないでほしいと思うこともありました」
浮気を疑われ、あっという間に…
悶々として眠れない夜が多くなった。眠れば彼女の笑顔と泣き顔が交互に夢に出てくる。彼女の娘が「おじさん」と笑いながら抱きついてくる夢も見た。
「ある日、妻が『千春って誰?』と聞いてきたんです。ものすごく焦りました。な、なんのことと言葉に詰まってしまって。『寝言で言ってたわよ、千春って』と聞いて、自分の気持ちがそこまで切羽詰まっていたのかと思い知りました」
浮気を疑った沙梨さんは、彼の携帯や財布を徹底的に調べたようだった。「千春」の正体を知り、子どもたちの前で「あなたたちのおとうさんは、他の女性とつきあってるわよ」といきなり暴露した。
「気持ち悪い、なにそれと娘が言い、妻は『最悪』と吐き捨てるように言った。次男も『ダサいな』と顔を背けた。いきなりつるし上げるようなことをしなくてもと思ったけど、『浮気などしていない。食事をしただけ。友だちとさえ言えない関係だよ』と必死に弁明しました」
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