不倫相手と暮らしている間に、自宅の「レコード」「鉄道模型」を勝手に売られた…「妻を訴えたい」50歳夫の怒りと葛藤

  • ブックマーク

【前後編の後編/前編を読む】「末っ子はやっぱりできそこないなのかしら」中学受験を拒んだ息子への妻の態度がヒドすぎる…合格した娘を抱きしめ「才能がある」 50歳夫が抱いた不信感

 若い女性と恋に落ち、関係が家族に知られて家を出たという沼田武龍さん(50歳・仮名=以下同)。妻の沙梨さんと離婚は成立しておらず、せめて3人の子どもたちとの関係を修復したいと考えている。勤務する広告会社の先輩の紹介で出会った沙梨さんは、何事も“夫任せ”にするタイプ。そんな彼女に武龍さんは不信感を募らせていたが、とりわけ対立が深まったのは、子どもたちの教育をめぐってだった。中学受験に失敗した長男は、妹が合格した際の母親の振る舞いに傷つき、高校も辞めたいと言い出した。家庭を維持する難しさを感じながらも、子どもたちとはそれぞれの距離感で向き合おうとしていた武龍さん。そんな彼に、新たな出会いが訪れる。

 ***

 2年前のことだ。担当したイベントで、武龍さんは迷子を探している女性と遭遇した。たまたま彼の休憩時間で、会場内をぶらぶらしている時間帯だった。血相を変えた若い女性が右往左往していて彼にぶつかったのだ。

「どうしたんですかと聞くと、子どもがいなくなったという。迷子ステーションをもうけていたのでそこまで案内したのですが、彼女は悲痛な顔をしていて。見つかりますよと声をかけても心ここにあらずでした」

 迷子ステーションにたどりつくと、女の子が係の女性と一緒にいた。ママ、どこにいたの、ママが迷子になったって今言ってたんだよと女の子は無邪気に笑った。「ママ」はいきなり泣き崩れた。

「娘を抱きしめて滂沱の涙で……。放っておけなくなって、近くのコーヒースタンドで飲み物を買ってベンチに座りました。ようやく落ち着いた彼女は『すみません。私はシングルマザーで、この子を元夫の両親が奪いに来たのではないかと思ってしまって』と恥ずかしそうに言いました」

夫が失踪、シングルマザーに

 休憩時間が終わりそうだったのだが、彼はこのまま別れたくないという思いにかられた。名刺を出して「もしよかったら、何でも相談に乗りますから」と伝えた。一緒にいてもらえてよかったと彼女はようやく笑顔になった。

「千春と名乗った彼女は、それから1週間ほどたって連絡をくれました。あのときのお礼をしたいと。お礼なんてどうでもいいけど、彼女に会いたかったので食事の約束をしました。娘さんももちろん一緒に」

 気軽な中華料理屋ですがいいですかと千春さんは言い、もちろんと彼は答えた。彼女は店の場所をメールしてくれた。それは彼の自宅から電車で15分ほどの、そう遠くはない住宅街にある店だった。

「時間通りに行くと、彼女と娘はすでに待っていました。小さな中華料理屋でしたが個室をとってくれていた。いろいろ話しました。ちゃんと話すのは初めてなのに、彼女はすごく気持ちがオープンなのか、過去を正直に話してくれたんです。高校時代の先輩と恋をして妊娠したこと、結婚して高校卒業と同時に娘を生んだこと、だがその後、夫は失踪して行方がわからなくなったこと。夫の両親に、息子がいなくなったのはあなたのせいだと厳しく非難され、子どもを寄越せと執拗に迫られたこと。警察にも相談に乗ってもらい、最後は弁護士を頼んでようやく解決したんだそうです。でもいまだに義両親が娘を奪いに来るかもしれないという思いで、ときどき胸が苦しくなるのだとか。娘は7歳。小学校に入ったばかりだと言っていました」

次ページ:「娘がおじさんに会いたいって」…何が目的なのか

前へ 1 2 3 4 次へ

[1/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。