「毎話ラストで『え!』と声が出る」 見た目は普通の人間だが「別の人類」をテーマにした『ALIUS』が面白い

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 8月に坐骨神経痛を発症、ドラマ視聴のリズムが乱れて、WOWOWチェックを怠ってしまった。普通の刑事モノではなく、超常現象系と気付き、慌ててオンデマンドで追っかけ視聴したのが、「ALIUS-特定事象捜査ファイル-」である。現人類とは異なる別の人類が容疑者だと!? 人間を脅かすのはAIってのが現実味を帯びてきた今、別の人類なるキーワードに、遅ればせながらも心躍ったので。

 主演は佐々木蔵之介。7月期はフジや日テレで中途半端に悪い父親を演じて大忙しだったが、ここでは奇妙な事件を追う捜査一課のやさぐれ刑事を演じている。

 物語は、残忍な手口で殺された遺体が見つかるところから始まる。発見時、のどに4本のナイフが突き刺さっていた。被害者は脳科学の権威で脳神経外科医(長谷川初範)。この異様な事件を追うのは蔵之介が演じる佐野省吾。勘の鋭い敏腕デカだが、捜査手法は強引で、物言いにも昭和臭漂う。実は3年前に同じ警察官の妻・薫(坂井真紀)から突然離婚届を突き付けられた。その後、薫は音信不通で行方知れず。別れる理由も居場所も分からず、電話をかけてもつながらず。心も生活も荒(すさ)んでいるという設定だ。

 バディを組むのは聡明で優秀な羽住(はすみ)杏奈(恒松祐里)。科警研から出向してきた変わり者の研究者・神崎透流(とおる/中川大志)も捜査に加わることに。昭和臭刑事とシゴデキ女性刑事、そして人間の言葉を信じないと断言するオタク気質の若手研究者という、警察ドラマで定番トリオの様相を呈していたのだが、その関係性はあっという間に変わる。

 全6話だが、1話が約25分。実にコンパクトにまとまっていて無駄がない。ま、予算もなかったのかもしれないが、決して安っぽくはない。ちょっと気付いたんだけど、地上波の刑事モノって登場人物が多過ぎるし、どうでもいいエピソードや不要で無粋な解説の含有率も高い。削ぎ落とした方が見やすいんだなと再確認。

 しかも、超常現象といえど、人間の仕業。見た目は普通の人間だが、ホモ・サピエンスとは異なる系統の遺伝子を持つ、別の人類「ホモ・アリウス」という仮説も非常に興味深かった。AIやらCGやらに頼ることなく、特殊メイクも不要。安直・安易に見えないという利点がある設定に、役者陣の力も加わり、心地よく見ることができた。いや、心地よくというか、ぞっとする運びでもあり、毎話のラストには衝撃の展開が埋め込まれ、「オッ!」とか「え!」とか思わず声出ちゃったし。

 ぜひ見てほしいので、あまり内容に触れたくないが、要するにアリウスなる別の人類には特殊な能力がある。その能力は人類を脅かす存在となり得るため、国家にとっては「排除」対象というわけだ。能力を自覚していないアリウスもいて、保護と称して、実際には殺されたり、自由と尊厳を奪われる。この描写には心が乱される。特殊能力は確かに怖いが、排除という考え方もおぞましい。

 ラストシーンは無情か非情か、非常に後味が悪い。人類は過ちを繰り返す、と突き付けられる。深い作品。

吉田 潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2026年10月15日号掲載

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