重症患者は10年間で18%が死亡 恐ろしい「睡眠時無呼吸症候群」 イビキだけではない「見極め方」

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マウスピースの副作用

 次は〈マウスピース〉。

 一部の歯科医院が専用のマウスピースを作成しています。上下の歯に装着しますが、気道を広げるために、下顎を若干、前に出す形で作られます。歯ぎしり防止効果もありますが、歯並びに影響が出る副作用が指摘されています。

〈口腔咽頭エクササイズ〉は顎や舌を鍛える訓練です。例えば、ひもをくわえて下端にボタンなどの重りを付ける。これを、口の力で巻き上げる訓練です。若い人は顔つきが引きしまる効果もあります。また、舌で口蓋を弾いてポンと音を鳴らす「ポッピングトレーニング」もあります。

〈ナステント〉は緊急救命時の気道確保法を応用し、寝る前に柔らかいチューブを鼻に挿入して、イビキ・無呼吸を防ぐ装置です。一般医療機器ですので、コンタクトレンズと同様に、医療機関で処方指示書を発行してもらえば通販で購入することもできます。

 ナステントは、自分の手で挿入しなければならず、「怖い」と感じる人も少なくありません。鼻うがいができる人は簡単に挿入でき、両方の鼻に挿入している人もいます。

重症者はCPAP一択

 最後にやはり〈減量〉です。

 冒頭で、太っていることが必ずしもSASの原因とは限らないと説明しましたが、体重との関係は無視できません。個人差がありますが、基準の一つは、イビキをかき始める前の体重まで落とすこと。また、もともと気道が狭く、若い頃からイビキをかいている人は、減量の効果が出ない場合があります。

 以上、患者さんが受容しやすい順に説明しましたが、あくまで改善する「可能性がある」のであって重症患者には効きません。そこで、最後に中等症~重症と診断された場合、どのような治療が必要なのか、説明しましょう。

 現在、効果が認められ、主に重症患者の唯一の治療法となっているのが、医療機器「CPAP」の使用です。

 CPAPは、鼻に装着したマスクを通じて機械で圧力をかけた空気を送り、気道を広げて無呼吸を防ぎます。AHIの数値が一定以上であれば健康保険が適用される。これまでは、簡易検査でAHI40以上が適用対象でしたが、新たな基準では30以上。精密検査では15以上が適用になります。

〈CPAPは一般的に、病院が用意したものを借りる形を取り、定期的な機器使用状況の確認を含めて費用は1カ月5000円程度。ただし、全員に有効とは限らない。就寝中に無意識にマスクを外したり、不快感が強く、装着できずに寝たりするためだ。花粉症の時期は装着できない人もいるが、佐藤医師が診ている患者では、7~8割が朝まで装着できている。〉

 どうしても、CPAP治療がうまくいかない時に、外科的手術を選択する場合があります。これまで耳鼻科的手術として、口蓋垂の一部を切除する「UPPP(口蓋垂口蓋咽頭形成術)」が多く行われてきました。しかし、時間がたてば元に戻る可能性が指摘され、非主流となりました。他にも手術はありますが、費用は高額になりがちで慎重な検討が必要です。

 SASは自覚することが難しく、ついつい放置しがちです。しかし致死率が上がる怖い病気であり、繰り返しになりますが、「イビキ」など、ここまでに挙げた症状がある人は、まずは検査を行ってください。

佐藤 誠(さとうまこと)
守谷慶友病院 守谷いびき・無呼吸センター長。新潟大学医学部、東北大学医学部などを経て米ウィスコンシン州立大学留学。上越教育大学保健管理センター所長、生活健康系講座教授、2005年、筑波大学教授。2016年より同大学、国際統合睡眠医科学研究機構教授。現在、筑波大学名誉教授。

週刊新潮 2026年9月24日・10月1日号掲載

特別読物「病を知る、病を避ける 重症患者は10年間で18%が死亡 『睡眠時無呼吸症候群』 “イビキ”だけではない見極め方」より

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