重症患者は10年間で18%が死亡 恐ろしい「睡眠時無呼吸症候群」 イビキだけではない「見極め方」
長顔系と短顔系
以前、私が診た17歳の男子高校生がまさにそうでした。母親は、息子が痩せているため医師に話しても信じてもらえないと思い、寝ている姿を撮影してきました。映像では、高校生が大きなイビキをかいて、胸は大きく波打ち、やはり呼吸が止まっていました。この高校生は扁桃肥大も影響していましたが、何よりも顎が小さかった。それにより気道が狭まっていたことが原因だったのです。
日本人の顔は長顔系と短顔系に分けられますが、長顔系は概して顎が小さく、気道が狭くなりがちです。
しかも、もともと気道が狭いと、少し太っただけでSASを発症します。標準体形の人が10キロ太るより、痩せて顎の小さい人が5キロ太った時の方が発症しやすいのです。
SASを公表した芸能人の若い頃の写真を見ると、面長で顎の小さい人が多いことが分かります。これは、患者の肥満度を調べた研究結果でも明らかです。痩せているからといって安心してはいけません。
人類が避けられない病
〈NPO法人・新潟睡眠障害を考える会によると、肥満度を測る国際指標「BMI」の観察を10年間続けた研究では、睡眠時無呼吸症候群患者のうち、「高度肥満」(BMI35以上)と「超高度肥満」(同40以上)は合わせて、わずか5%。「軽度肥満」(同25~30)が39%、そして「正常」(同18.5~25)が38%で、「痩せ」(同18.5未満)が5%で半数近くは正常以下だった。SASは、太っていることだけが原因ではないことを示している。〉
では、直接の原因となる気道狭窄は、どうして起きるのでしょうか。それは人類の進化と切り離すことができません。
ヒトは、類人猿から進化して二足歩行になった時、顔が立ち、顎が引っ込みました。口腔内空間が広がり、舌の動きが複雑化して言語を獲得しましたが、一方で中咽頭(気道)は細長く、狭くなったのです。
有史以降は、食事が影響しています。
日本咀嚼(そしゃく)学会が、古来の食事を再現して咀嚼回数の変遷を調べました。それによれば、弥生時代は1回の食事で約4000回も咀嚼していました。20世紀初頭でも約1400回を数えましたが、現代人は約600回でしかありません。かまないため顎が発達せず、気道が狭くなる一方なのです。
咀嚼回数の減少は今後も続くでしょう。100年後のヒトの顔は、現在よりももっと細長く、顎が小さくなっていると予想されています。その頃には、全ての人がSASを発症している可能性もあるのです。
SASが人類にとって避けられない病気だとしたら、普段、どんな変化に気を付けたらいいのでしょうか。簡単な方法は、口を大きく開けて中を観察すること。鏡で見るか、他人に見てもらって、口蓋垂がきれいに見え、ノドの奥までのぞければ正常。口内上部(硬口蓋)だけしか見えなければ、ほぼ100%該当者です。
また、SASの最大の症状はイビキ。患者の90%以上に当てはまりますが、一人暮らしだと自覚しにくい。
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