開幕迫る「アジア競技大会」、“代理店依存”“権威主義的な体質”からの脱却で成功を収められるか 大会が目指す「アウェーの選手をゼロにする」の意味

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 いよいよ「アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」の開幕が目前に迫り、テレビ、新聞、ネット媒体でも事前情報の発信が盛んになってきた。9月19日(土)に行われる開会式に向けて徐々に関心も高まりつつある。

 今回は愛知県名古屋市を中心に開催されるアジア競技大会を支える取り組みについて、あまり報道されない側面を紹介したい。【小林信也(作家・スポーツライター)】

大手広告代理店抜きの競技大会

「この大会は、これからのスポーツのあり方、国際大会の方向性を探る重要なスタートになると感じています」

 と指摘するのは、元日本レスリング協会副会長で、至学館大学学長の谷岡郁子さんだ。

「今回のアジア競技大会の運営には、電通や博報堂などの大手広告代理店が関わっていません。愛知県と名古屋市が中心になって組織委員会を組織し、いろんな人材が集まって準備しています」

 オリンピックをはじめとする国際大会の運営はもとより、競技団体の運営にまで広告代理店が深く関与するようになって久しい。大手広告代理店が事実上スポーツマネジメントの方向性を決める役割を果たすようになったのは1980年代から。大きなきっかけはオリンピックが商業化に舵を切った1984年のロサンゼルス五輪だと言われる。その流れの中で陸上競技などアマチュアリズムを堅持していた多くの競技がプロ化を容認した。プロ化とともにスポーツは一気にビッグ・ビジネスへと発展した。その収益構造を支えたのが広告代理店だった。

 ところが、東京2020五輪の運営をめぐって、大きな不祥事が多発した。広告代理店の業務に絡む談合や収賄など、いくつもの告発がなされた。中でも、東京オリンピック・パラリンピックをめぐる談合事件で起訴された電通、博報堂など数社は自治体が発注する事業の競争入札に参加できない指名停止処分を受けた。そのためアジア競技大会でも、彼らに事業を発注することができなかった。

変わらない体質

 一方、世界に目を向けると、インターネットの発展によって、競技団体や個々の大会も代理店に依存せず、独自に運営する流れが広がりつつある。

「脱大手広告代理店」という新しい潮流の中で開幕するのが、本アジア競技大会なのだ。今大会のビジネスモデルは、今後のスポーツイベントのあり方に大きな示唆を与える重要な取り組みとも言える。

「IOC(国際オリンピック委員会)が相変わらずお金優先で権力的なやり方を変えない中で、その傘下であるOCA(アジア・オリンピック評議会)もその体質がまったく変わっていません。開幕まで1ヵ月を切った段階になって、『選手と役員の人数が2000人以上増えたから受け入れろ』と平気で言ってくるのですから」

 谷岡学長が指摘した件は全国的にはあまり話題になっていない。が、中日新聞など地元メディアが『アジア大会の人数超過問題、役員の一部の宿泊先は自前で確保 各国・地域のオリンピック委員会で』の見出しで、次のような事態を報じている。

「9月19日に開幕する愛知・名古屋アジア大会の選手・役員数に関し、アジア・オリンピック評議会(OCA)が開催都市契約にある『最大1万5千人』を超える人数を示したことについて、アジア・アジアパラ大会組織委員会は28日、各国・地域のオリンピック委員会(NOC)が役員の一部の宿泊先を自前で確保することにしたと発表した。費用はNOC側が負担する。

 組織委によると、大会を主催するOCAがNOC側に通知し、理解を得た。人数を減らすのではなく、参加を希望する選手団全員を受け入れる方向で準備を進めている」(中日新聞 2026年8月28日)

 東京2020でも問題視されたオリンピック・ファミリーと呼ばれる五輪貴族たち、その特権体質の打破は、健全なスポーツ再興には欠かせない。ところが、OCAはその権力的な姿勢を変えているように見えない。これに対し、愛知県の大村秀章知事(大会組織委員会会長)、名古屋市の広沢一郎市長(同会長代行)はともに断固とした対応を見せた。中日新聞が伝えている。

「愛知・名古屋アジア大会の選手・役員数に関し、アジア・オリンピック評議会(OCA)が『最大1万5千人』を超える人数を示したことについて、大会組織委員会会長の大村秀章・愛知県知事は25日の会見で、『1万5千人分しか予算を用意していない』と述べ、受け入れ困難とした。

 大会の主催団体であるOCAと地元側との開催都市契約では最大1万5千人の宿泊先を用意すると明記。OCA側も枠内に収める意向を示していたが、今月、一方的にホームページで1万7千人以上と公表した。

 人数が増えた場合に必要となる宿泊施設について、大村知事は『物理的に対応できない。OCAが(自分たちで)どうにかされるということじゃないか』と話した」(中日新聞 2026年8月25日)

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