「我慢の限界なので話します」…ミラノ五輪代表「近藤心音さん」のパワハラ告発 選手を追い詰めるスポーツ界の悪しき構造にメスを入れるべき時ではないか
トップ選手が選手村に入らないという選択も
トレーナーなどは、選手が普段帯同している人を連れていけば問題ないが、オリンピックのように選手村に入れるスタッフの数が厳しく制限されている大会ではそうもいかない。競技団体が指名したトレーナーが代表スタッフに入る場合も少なくない。その場合、選手たちの要望ではなく、競技団体の大人の事情で決まる場合もある。
かつて私は国際的なトレーナーのマネジメントを担当し、オリンピックにも帯同した経験がある。彼はフリーランスのトレーナーだから、企業の後ろ盾はない。選手村に入れるのはJOCのオフィシャルサプライヤーである大手スポーツメーカーに所属するトレーナーだった。1988年のソウル1988夏季五輪の時、私がサポートしていた白石宏トレーナーは、競泳の鈴木大地選手、柔道の斉藤仁選手、ふたりからケガの治療を依頼されていた。IDパスのない我々は、ソウル市内にホテルを取り、選手村から彼らが通ってくる形で直前まで治療を続けた。その二人がそれぞれ金メダルに輝いた。
時代は変わり、選手をサポートするチームの必要性はさらに高まっている。コーチのほかに、フィジカル、コンディショニングそれぞれのトレーナー、メンタル、栄養などの専門家ら、プロフェッショナルとして世界をサーキットするアスリートにとって彼らは日常的なブレーンだ。オリンピックであっても、いやオリンピックという舞台だからこそ、彼らとともに臨みたいのは当然だ。
そこで、トップ選手が選手村に入らない選択をする例も増えている。冬の五輪の場合は、厳しい気象条件や山間の環境のため、会場近くに独自の宿舎を用意することが難しい場合も多いだろう。JOCがすべきことは、上から目線で競技団体本位のチームづくりをするのでなく、各選手のパーソナルスタッフをできるかぎり帯同できる環境整備なのではなかろうか。
近藤選手の訴えを、根本的に反映する行動をスポーツ界が取るかどうか、相当な決意と覚悟を求めたい。















