日航機墜落の陰謀論を作り出したのは誰か 存在しない「オレンジエアー」に執着したジャーナリストの名前
突っ込んでくる車を見て「レッドカー!」と叫ぶか
陰謀論者の中には、流出したCVR(コクピット・ボイス・レコーダー)の音声に「オレンジエアー」という言葉があると主張する者がいる。それが、オレンジ色の飛行物体が日航機を追いかけた証拠だと言うのだ。
私が初めて教育航空隊に配置された時に「航空管制交話」という授業があった。英会話は得意であった私でも航空管制等で交わされる用語は聞き取れず、最初は全く意味がわからなかった。単語のみを並べたような交話は、英語がペラペラな人でも飛行機の運航を知らないと理解できない。航空管制交話やコクピット内での会話は、英語または日本語で話されるが、英語を使う時はもっぱら「共通の用語」を使う。
「共通の用語」とは、パイロット、管制官、航空機関士が聞けばすぐに理解できる言葉である。例えば「ギア・ダウン」といえば「主脚を降ろす」という意味だが、一般の人にはわからなくても、パイロットと航空機関士には理解できる。これが「共通の用語」だ。「オレンジエアー」などという言葉は自衛隊や民間航空の「共通の用語」にはない。「共通の用語」でなければ日本語で話すのがコクピット内の常識だ。よって、「オレンジエアー」などという言葉を発するわけがないのだ。
例えば、あなたが友人と共に交差点で信号待ちをしている時に、赤い車が暴走して自分の方に迫ってきたとする。とっさに出てくる言葉は、「危ない」とか「逃げろ」、または「車!」といった言葉だろう。「レッドカー!」と叫ぶ人はまずいまい。危険が迫っている時に、車の色をわざわざ強調する必要はない。
コクピット内でも同じことで、仮に何か異常があれば日本語で「近くに何か飛んでいます」と言うのが普通のパイロットだ。オレンジという色を強調する必要性は全くない。そもそも民間機にはミサイル等を探知可能なレーダーがないので、後方から飛翔体が近づいてくることがわかるはずもない。軍事や航空に無知な素人の豊かな発想力には、失笑を禁じ得ない。
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