「ガムテープを渡されて“女を縛れ、目も口も塞げ”」と…夜な夜なカップルが利用する「ホテル」で起きた難事件を昭和の週刊誌記者はどう取材したか
部屋にいたのが「3人」だったので……
この記事では、あるモーテルの従業員の証言も載っている。かなり細かい内容だ。
〈「午前三時近くでした。『祇園の間』のお客さんから“強盗が入ったからすぐ来て下さい”と電話がかかったんです。(略)怖くてしようがなかったんやけど、客室のドアを開けたら、アベックが飛び出して来ました。男の人は浴衣を着とったけど、女の人は素っ裸で、おまけに両手をガムテープで縛られたままの格好なんです……(以下、略)」〉
実はこのコメントをとったのも、H記者である。ふたたび、新米だったMさんの話。
「Hさんが言うに、こういうところを取材する場合、朝10時から昼12時までの間が勝負だというのです。つまり、朝10時を過ぎれば、すべての客はチェックアウトして、もういない。しかし12時の昼休みになると、逢引きにつかう不倫カップルが駆け込みで来るので意外と忙しくなる。だから、この2時間は従業員も、すこし気が緩んでいる。だけど正面から行ってもまずダメ。県道沿いのモーテルは広いから、たいてい、裏庭があって、そこでシーツを洗濯して干したりしている。おしぼりとタオルはレンタルだが、シーツは自分たちで洗うところが多い。そこで裏へまわって、のんびり洗濯している従業員に話を聞くんだ――と。その“取材テクニック”に、開いた口がふさがりませんでした。しかし、いったいなぜ、Hさんは、あの“業界”に、あれほど詳しかったのか……」
なお、先述した、被害者のひとりが染物会社のB社長だとの噂が、なぜ、すぐに広まったのか……。
「実はB社長は、その夜、奥さんと、もうひとりの女性との、計“3人”で部屋にいたのです。かなり特異な被害者だったので、どこからかすぐに漏れて、近所中に広まってしまったようです」
取材班は、そのB社長にも会っているが、〈「何のこというとるの、知らん知らん。何だ、何のことだ」と、ただ荒れ狂うのみ。〉。そこへ、奥さんが横から出てきて、こう言った――〈「あの、従業員には話を聞かないで下さい。行っている所が行っているところですから……」〉
そのあと、記事は、こう結ばれている――〈それにしても社長さん、奥さんともう一人の女性を加えてモーテルで何をしていたのか……。〉
※記事本文の引用は、主旨を変えない範囲で表記を変更し、一部再構成しています。
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