「ガムテープを渡されて“女を縛れ、目も口も塞げ”」と…夜な夜なカップルが利用する「ホテル」で起きた難事件を昭和の週刊誌記者はどう取材したか

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被害者まで知っていた、タクシー運転手

「当時は、いまほど個人情報にうるさくなかったのですが、さすがにこの事件では、警察は、おおよその現場地名を発表するだけで、被害者の詳細までは発表しませんでした。それだけに、いったいどうやって取材するのだろうと、新米のわたしは不安で仕方ありませんでした。しかし、ベテランのリーダー格、H記者は、悠然としています」

 現地の駅に着くと、S記者は警察へ公式取材に行った。のこったH記者は駅前で、一台のタクシーを確保した。

「わたしは“勉強”させてもらうつもりで、H記者にくっついていました。するとHさんは、そのタクシーの運転手さんに『モーテル強盗事件の取材で東京から来たんだけど、現場がどこだか知らない?』と聞くんです。『ええ、知ってますよ。こっちじゃ有名ですから』『今日1日、貸し切りにするから、連れてってよ』。かくして、あっという間に現場に向かうことになったのです。駅の改札を出て、5分とたっていなかったと思います。まるで魔法でも見ているようでした」

 H記者は、あとで、こう“指導”してくれたという。

「モーテルは、車の客目当てだから、県道などの大きな通り沿いにある。だから地元タクシーなら、知っている運転手がいるかもしれない。地方小都市での事件取材では、地元のタクシーは大事だぞ」

 H記者のベテランの“眼力”もあったろうが、取材班はまさに事件を知る運転手を見つけたのである。僥倖はそれだけではなかった。たまたま現場を通りかかった人物から、被害者の有力情報も得たのである。

「たまたま通り道だったので、野次馬根性で見に行ったら、ちょうど現場検証をやってました。しかも被害者らしき男性が、事情聴取のためにパトカーに乗せられるところだった。それが、よく見たら建設会社のA社長じゃないですか。狭い田舎町ですから、バレバレですよ。そのほか、噂ですぐに広まったのが、染物会社のB社長です」

 なぜ、B社長の噂がすぐに広まったのかは、後述する。

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