「おぢから大金をだまし取りつつ恨まれない方法」…中年男性を喰いモノにした「頂き女子りりちゃん」事件をビジネス的観点から読み直す

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<良いおぢに育てられます。>

 マニュアルの最初のほうに、これを通じて読者に「身につけてほしい力」が列挙されている。これは、まるでマニュアル作りの作法を知りつくした編集者が企画した構成と見紛う。長年、文筆を生業としてきた著者は、ここを読んだだけで、すっかり舌を巻いた。

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(1)今以上にお金を稼ぐ力 → 今以上にお金を稼いでキラキラしてほしい。自分の価値に気づいて自信に繋げて欲しい。

(2)人の心を読み取る力 → おぢ目線に立って発言行動する。簡単に言うとおぢの喜ぶことをする=頂きでかえってくる。

(3)やさしいコミュニケーション適応力 → おぢに心を開いて信じてもらってお金を頂ける。

(4)「助けてあげたくなる女の子」に魅せる力 → わたしはかわいくないしスペックも低いですが、どうしたら「助けたい」とおぢに思ってもらってお金を頂けるか、このマニュアルで身につけてもらいたい。

(5)相手をガチ恋にさせる力 → 自分の無害ガチ恋おぢをたくさん作りましょう。有害ガチ恋は「俺と会って会って」と自分勝手な要求ばかりしてきますが、無害ガチ恋をつくると「りりちゃんに嫌われたくないからこういう発言はやめとこ」と、良いおぢに育てられます。

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 当人の「お金を稼ぐ動機」は、もちろん「ホストクラブ通いのため」で、それには毎月100万円は必要だが、夜の店などでの収入は13万8500円にしかならなかった、と。月収なのか週給なのかは不明だが、いずれにせよ、毎月100万円を超える「ホス狂い」の必要額にはまったく届かない。

 ところが、試行錯誤を重ねた上で体得した「頂きマニュアル」を実践し始めてから、収入はウナギ登りになった。20歳(2018年) に月額150万円程度だった詐取額は、23歳(2022年)には月額1000万円を超えたという。

 稼ぎはほぼすべてホストクラブに注ぎ込んだが、その甲斐あって担当ホストはナンバーワンの座を得ている。それと引き換えに、頂き開始5年目(2023年=逮捕の年)には、過労のため、心の健康を損ねて「措置入院」まで経験したという。ちなみに「措置入院」とは、家族や本人の申し出ではなく、都道府県知事の権限による入院措置だ。

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