「多党化時代」突入の日本が“お手本”にすべき国がある 文書のボリュームは自維の20倍…歴史の反省が生んだ超慎重な合意形成
10月10日に公明党が連立離脱を表明してから、10月21日の内閣総理大臣指名選挙までの間、大きく揺れ動いた日本の政局。一時は立憲・国民・維新の野党3党による「玉木首相誕生」まで真剣に取り沙汰されるなど、多くの国民がその行方を見守った。背景には、前回の参院選を経て自民党の一強が崩れ、日本が「多党化時代」に突入したことがあるが、独立行政法人経済産業研究所(RIETI)コンサルティングフェローの坂本雅純氏は「長く多党政治が続いてきたドイツでは選挙から政権樹立まで何ヶ月もかかることがある」と指摘する。実はそこに高度な政治技術と仕組みが存在しているという。多党政治の“先輩”であるドイツの政治から日本が学べることとは――。同氏のレポートをお届けする。
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多党政治の先輩国・ドイツ
「政局ドラマの始まり」
「本当に判断が難しい」
「仮に私が首相に選ばれたとしても政権運営が厳しい」
公明党の連立離脱表明の後、野党各党からこうした発言が相次いだ。「自公連立政権」という「常識」が崩壊したことで、政治状況が刻々と変化していった。
テレビの報道番組では首相指名選挙の仕組みが解説されていたものの、これは与党代表が総理大臣に任命されていた時代にはあまり目にしなかった光景だ。
結果的には自由民主党(以下、自民)と日本維新の会(以下、維新)の協力により高市早苗首相が誕生することとなったが、「今後の政治はどうなるのか」と不安を抱える方も多数いるのではないか。
ここで思い起こされるのが、多党政治の先輩国といえる、ドイツである。
ドイツ政治には下記のような特徴がある。
・ナチスの反省もあり、一政党が単独過半数を取りづらい比例代表制重視の選挙制度になっている
・政権運営には議会での過半数が必要なので、複数政党で連立政権を組むのが常である
・連立相手は流動的である。すなわち「昨日の敵は今日の友」である
多党化が進む日本政治の参考になる点も多いため、今回はドイツの現政権を例として、ドイツ政治の合意形成プロセスの要点をご紹介したい。
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