ニーズが増え続ける「新幹線による荷物輸送」の背景 JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州に取り組みを尋ねると…【5社の回答全文を紹介】
荷物専用新幹線
Q7:新幹線の車両から座席を取り外し、荷物車両として整備する「荷物専用新幹線」は現実性がありますか?
【JR北海道】
当社は現在、JR東日本グループの事業に協力している立場であり、主体的な検討は今後になりますが、これまでにない高速かつ定時性に優れた輸送モードであり、新たな発想での活用策を提案するなどし、需要を創出することができれば、可能性は広がるものと考えています。
【JR東日本】
今後、E3系を活用した荷物専用新幹線を計画しています。この新幹線の実現により、最大で1000箱程度のさらなる大口輸送を実現することができ、【Q6】の課題にも更に貢献できると考えています。
【JR東海】
・列車の一部に荷物専用車両を導入するなど、より多くの荷物輸送を行うには、車両やホームの設備改良が必要となるほか、限られた停車時間で多くの荷物を積み降ろしすることなど、検討が必要な課題が数多くあると考えており、列車の運行頻度が非常に高く、お客様のご利用が多い東海道新幹線において実現することは困難と考えています。現時点においては、業務用室を活用した少量の荷物輸送でお客様のご要望に応えているところです。
【JR西日本】
荷物輸送専用車両の導入につきまして、現時点においては具体的な検討はしていませんが、社会環境変化(物流2024年問題の深刻化、人口減少による旅客の縮小等)やニーズを見極め、検討してまいります。
【JR九州】
※Q8で合同回答
読者へのメッセージ
Q8:その他、読者へのメッセージなどございましたら、お願いします。
【JR北海道】
新函館北斗駅~東京駅間で、今年の3月から「はこビュンQuick」の取扱いが始まりました。これまでの「はこビュン」では、法人限定で、かつ、事前の打合せ・契約が必要でしたが、「はこビュン Quick」は、事前の打合せ・契約が不要で、駅等にあるカウンターに荷物をお持ち込みいただければ、対象列車の30~60分前まで荷物輸送を受け付けるサービスです。(新函館北斗駅での受付は60分前まで)
函館、道南地域の、企業の方、個人の方を含めた皆さまに、東京との相互間で、その日のうちに、スムーズに荷物を輸送することが可能になったということを、広く知っていただき、また、それを一度ご利用、ご体験いただくことを通じて、これまでなかった新しい輸送モード「はこビュンQuick」の需要を創出してまいります。
【JR東日本】
「はこビュン」「はこビュン Quick」の他にも、「ホテルメッツ新潟」、「ホテルメトロポリタン盛岡」、「ホテルメトロポリタン仙台」の宿泊者を対象に、ホテルフロントにてお預かりしたお荷物を、新幹線で当日中に東京駅までお届けするサービスもございます。
今後も地域産業の発展や社会的課題に貢献できる事業として取り組んでまいりますので是非、ご利用ください。
【JR東海】
・今後もJR各社と連携して、新幹線荷物輸送サービスのネットワークに磨きをかけ、お客様の多様なニーズにお応えできるよう取り組んでまいります。
【JR西日本】
山陽新幹線区間完結の輸送のみならず、JR東日本(北陸新幹線)・JR東海(東海道新幹線)・JR九州(九州新幹線)との直通運転を行っていることから、エリアを跨った輸送も可能となっております。JR西日本グループを窓口に調整いたしますので、ご興味がございましたら是非ご相談ください。
【JR九州】
新幹線ならではの高速・即日輸送は、配送スピードや利便性の面はもちろんですが、例えば農産品・鮮魚などは、地域産品の商圏拡大、地域の魅力発信、観光PRにも大きく寄与しています。
また国内に留まらず、九州新幹線から北九州空港を経由し、UPS様の国際航空ネットワークを通じた国際宅配サービスでも連携をしており、単なるイチ物流手段に留まらない大きなメリットや、価値の創造、可能性を持ったものであると捉えています。
鉄道はトラックと比べ環境にやさしい輸送手段でもあり、トラックドライバーの不足など、社会的課題の解決に向けたニーズの高まりに応えていくべく取組を実施しています。
現在、荷量拡大に向けて物流会社さまをはじめ、協力会社さまとの連携も進めながら取り組んでいます。荷物輸送スペースの拡大につきましては、これまでに弊社でも客室を活用した大ロット輸送の取り組みなどを実施しており、今後の荷量拡大ペースを見ながら、様々な可能性を検討していきたいと考えています。
ぜひ、多くのお客さまに「はやっ!便」自体のご利用はもちろん、九州内の生鮮品・産品を、博多駅に集め、とれたて・届きたての商品を販売する「つばめマルシェ」イベントも定期的に開催しています。まずはお気軽に新幹線荷物輸送「はやっ!便」だからこそお届けできる魅力を、1人でも多くのお客さまに感じていただきたいと思います。
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