ニーズが増え続ける「新幹線による荷物輸送」の背景 JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州に取り組みを尋ねると…【5社の回答全文を紹介】

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Q6:「新幹線で荷物を運ぶ」ことで生まれるビジネスチャンスや消費者の利便性、環境問題などへの貢献など、どのようなメリットがありますか?

【JR北海道】
 新幹線荷物輸送は、これまでにない高速かつ定時性、低振動性に優れた輸送モードであり、法人等の物流に、新たな視点で有効に組み込んでいただくことによって、その価値を発揮できるのではないかと考えています。

 なお、北海道新幹線については、東北新幹線とつながり東北、関東と結ばれているため、輸送量拡大につながるお話があれば、将来に向けて運行や荷物の積み下ろしなどの課題について、JR東日本グループと相談しながら、検討していきたいと思います。

【JR東日本】
「はこビュン」は「高い定時性と豊富な運行本数」、「低振動で高水準な輸送」、「環境にやさしい輸送手段」と高品質な輸送メリットがあります。従来のトラックなどでの輸送では、道路状況などによって大幅な遅延なども発生する可能性もありましたが、新幹線を活用いただければダイヤ通りの運行が可能なので、大幅な遅延を防げる確率が高まります。JR東日本が運行している新幹線は、国内の営業列車のなかで最速を誇る320㎞(東北新幹線の一部区間)で運行を行っています。いままでのトラック輸送と比較した場合の圧倒的な速度を誇る速達性で荷物を運べますので、通常輸送では運べなかった商品や、お急ぎの荷物など、幅広くご活用いただけます。

 新幹線の乗り心地の良さを実現している低振動は、大事な荷物の運送破損などの確率を低減させるとともに、輸送中の品質劣化低減にも寄与しています。
国土交通省によると、鉄道貨物輸送のCO2排出量は自動車のおよそ11分の1※1といわれており、環境にやさしい輸送手段であるといえます。また、「地方創生」「物流危機」「モーダルシフト」といった社会的課題にも大きく貢献できる事業としても位置付けています。

※1.国土交通省HP「運輸部門における二酸化炭素排出量 ※令和5年5月17日更新(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html)」より、2021年度の鉄道(貨物)と営業用貨物車における輸送量当たりの二酸化炭素の排出量(g-CO2/㌧km)を比較して算出

【JR東海】
 JR東海グループでは、グループのアセットを最大限活用して、沿線都市と移動の価値を高め、グループ事業の収益を上げるとともに、鉄道事業との相乗効果を追求する取組みを進めています。

 東海道新幹線の業務用室というアセットを活用した荷物輸送サービスに取り組むことで、JR各社の荷物輸送サービスが全国ネットワークとして完成して、より長い距離を運べるようになり、これまで結ばれていなかった地域同士が結ばれることで、既存の輸送モードからのシフトを促すことにも繋がると考えているため、取り組む意義のあるサービスと考えています。

 また、他の輸送機関に比べて環境負荷が少ないという優位性から、新幹線による荷物輸送サービスをお客様に選択・利用して頂くことできれば、物流業界におけるCO2排出量の低減にも貢献できると考えています。

【JR西日本】
 旅客列車による荷物輸送の特徴として、1:高速、2:高頻度、3:高品質の3点があげられます。

1:トラック等と比較し高速性があり、加えてJR貨物の都市間輸送が主に夜間の輸送であるのと異なり、日中の即日輸送が可能。

2:1回の荷量は限定的であるものの、高頻度であることから、お客様の希望する時刻に対するこまめな対応が可能。

3:トラック等と比較し振動が少なく、車内の温度もほぼ一定に保たれ、例えば生き物の輸送においてもストレス負荷が極めて少ないことを実証。

 荷物輸送に取り組むことで、「他企業・地域との共創価値実現」「地域活性化への貢献」を目指します。また、物流の2024年問題や脱炭素化も含め、社会課題解決のための有効な手段として展開をしていきたいと考えております。

【JR九州】
※Q8で合同回答

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