なぜ塾で「子どもの性被害」が頻発するのか…増加する“個別指導”の影響、“恋愛感情”がトラブルに発展することも

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集団授業から個別指導

 昨今、教育業界では児童に対する性犯罪が大きな問題になっている。

 文部科学省によると、2023年度に児童生徒などへの性犯罪や性暴力で懲戒処分などになった公立学校の教員は320人と過去最多だ。

 ましてや塾の教壇に立つのは多くが大学生アルバイトだ。全員が将来教員を目指しているとは限らず、大学で教育者としての倫理教育を受けているわけではない。

 さらに、「集団指導から個別指導」へトレンドが変化したことも塾経営側がアルバイト講師に目を光らせなければならない要因になっている。

 現在、親は子に少しでも偏差値の高い大学に入れようとするよりも、個人の習い事などに力を入れ、学力以外の才能を見出そうとする動きが顕著だ。また、生徒の多様化によって、不登校や帰国子女の児童・生徒もいるため、集団授業よりも自分のペースで学べる個別学習を選択する児童・生徒が増える傾向にある。

 だが、この「個別」になると、集団での指導より児童・生徒との身体的・精神的な距離が近づくことになるのだ。

 実際、今月16日、全国に展開する大手個別指導塾の元教室長(45)が、中学生の女子生徒(15)に3年以上教室でわいせつな行為をしたとして逮捕された。

 元教室長は、1対1で指導していた際、女子生徒の隣に座り、体を下着の上から触るなどの犯行に及んでいた。女子生徒が今年6月にカウンセラーに相談して被害が発覚。長く指導を受けていることなどから、これまで被害を相談できなかったという。

 また、小児性愛者のケースではなくとも、「恋愛」に発展してしまうケースもある。

「生徒が高校生で教える側が大学生。年がほぼ変わらない同士だと、自然と恋愛感情が湧きやすくなるのは当然の流れではあります。が、受験を控えた生徒にとって塾は学びの場。教育する立場として、生徒に恋愛感情をもつことはあってはなりません。塾では講師に倫理的な研修もしています」

 性被害や恋愛トラブルを避けるべく、個別指導の際は親御さんから講師の性別をリクエストされることもよくあるという。

 こうした背景から、教育現場では来年から子どもと接する業務に就く人の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」が施行される予定だ。学習塾においては同制度に参加する義務はなく、事業者の判断にゆだねられているが、読売新聞が2024年に採ったアンケートでは、大手学習塾37社のうち9割にあたる32社が参加に前向きだと回答したという。

 今月18日、岐阜県では、学習塾経営者が塾のトイレで女子生徒を盗撮した疑いなどで警察に逮捕される事件が発生している。子どもを守るためには、すべての教育現場において義務化する必要があるように思えてならない。

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