なぜ塾で「子どもの性被害」が頻発するのか…増加する“個別指導”の影響、“恋愛感情”がトラブルに発展することも
塾の数
少子化が加速していくなか、塾の運営は決して容易なものではない。
令和3年の経済センサスによると、現在全国に塾は5万3009事業所。時代の波について行けず廃業する塾に代わり、その時代の波をめいっぱい取り入れて新規参入する塾もあるため、事業者数自体はここ10年ほど大きく変わってはいない。
しかし、東京商工リサーチの発表では、去年、学習塾の約3割が赤字を計上。やはり少子化が最も大きいところだろうが、それに加え、アルバイト講師・社員の待遇改善や「教育のトレンド」に対応するための費用が負担になっているものと思われる。
ある塾経営者はこう話す。
「昨今の入試スタイルの変化、教材のデジタル化、さらには教科書改訂などに対応しないといけない。これらに対応したら、今度は『人』の調整も必要になります。特に小学生は学んできた範囲が狭いので教え方には工夫がいるんですが、そのなかで使うツールが変わったり、教える範囲が変わったりすると、その都度、教材を買い直したり、講師自身も研修しないといけなくなる」
アルバイト講師の採用
ある大手の学習塾では、年間1万人ものアルバイト講師を雇う。毎年春になると大学4年生がごっそりと抜けるからだ。採用時はどんな点に着目しているのか。同塾の採用担当者はこう話す。
「学歴は大学生以上。学校の偏差値はそれほど気にしていません。個別指導の場合、講師経験がなくても問題ないです。むしろ受験経験があるほうが重要です」
しかし、こうした条件よりも重要なものがあるのだそうだ。
「適性検査のテスト結果ですね」
適性検査とは、その人物がどんな性格でどんなタイプなのかを調べるテストのこと。あくまでも一例だが、このテストでは本人に社交性や外向性があり講師に適しているか、困難に耐えられるか否かなどが測られるという。
しかし、採用側が最も注意して見ているのはそういうところではない。
「『小児性愛の傾向があるか』です。どれだけいい大学に行っていても、この適性検査に引っかかった場合は落とすようにしています」
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