ジョブズ、ゲイツも自身の子どものスマホ、タブレットの使用を制限 スマホの使い過ぎで「光過敏脳」が激増

ドクター新潮 ライフ

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薬の副作用

 いろんな診療科を受診したけれど「回答」を得られなかった方が、私の患者さんにたくさんいます。

 眼科を含む身体科の悪しき習慣ですが、原因不明のケースに対し「心因性」と診断してしまいがちです。しかも、日本では心因性の病気に「ベンゾジアゼピン系」に属する抗不安薬や睡眠薬がよく処方されます。これは、脳の活動を抑制して不安や緊張を和らげ、睡眠を促す作用がある一方、副作用として光過敏があるのです。患者さんの中には、長年ベンゾジアゼピン系の薬を使用したために光過敏脳に至った方もいます。なお、ベンゾジアゼピン系の薬がこれほどまでに処方されているのは日本くらいで、海外では処方日数が制限されている国もあります。

 さらに、光過敏脳の最大の問題点は、決定打となる治療法がないこと。光過敏脳に関心を持つ医師らが、あの手この手で対処法を患者さんに提案しているのが現状です。そして残念ながら、こういった医師はごくごく少数。診断が難しく、治療法はなく、対処してくれる医師が限定的となれば、予防を徹底するしかありません。

 ところが多くの方は、光への危機感がまるでありません。「眼精疲労」「年のせい」などと考え、「よくあることだ。仕方がない」と生活習慣を改めようとしない。長年の我慢やストレスが限界を超えてある日突然不調に襲われることをよく「コップの水が溢れ出る」と表現しますが、まさにそのようになる恐れがあるのに、です。いったんコップの水が溢れ出てしまうと、わずかな光も耐え難いものになります。

日中はサングラスを

 そこで私はみなさんに、次の2点を強く訴えたいのです。第一に、光過敏脳という“危機”が目の前に迫っていることをしっかり認識してください。第二に、光に対して警戒心を持ち、少しでも光が目に入る時間を減らしてください。

 現時点ではパソコン、スマホ、タブレットの使用に何ら困難を感じていなくても、今後もそうとは限りません。私たちの調査では、脳の神経が過敏になっている片頭痛持ちの方、ベンゾジアゼピン系をはじめとする光過敏の副作用がある薬を服用している方、発達障害がある一部の方において、光過敏脳のリスクが高いことが分かっています。より厳重な警戒が必要です。

 光が目に入る時間を減らす方法はいくらでもあります。高齢者でも昨今はスマホでYouTubeやサブスクの映画・ドラマを楽しんでいる方が増えていますが、視聴時間を制限する。遠く離れて住む子ども・孫、友人への連絡はメールやLINEでなく、手紙や電話にする。調べたいことはネットで検索するより本や辞書で。夜間、いつまでもテレビを見ていないで、早めに消灯し、朝型の生活に切り替える。

 日中の外出時のサングラスも徹底していただきたい。日本ではサングラスへの偏見が根強いですが、皆がサングラスをかけるようになることで、状況も変わるのではないでしょうか。

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