ジョブズ、ゲイツも自身の子どものスマホ、タブレットの使用を制限 スマホの使い過ぎで「光過敏脳」が激増
屋内でもサングラス
光過敏脳の患者さんは、屋外では日陰を選んで歩き、つばの広い帽子やサングラスを好みます。屋内でもサングラスを外さず、日中はまぶしいからと日が沈んだ後の受診を希望される方もいます。診察室の照明はつけないまま、暗い部屋の中でお話を伺うことも珍しくありません。私がこれまで診てきた光過敏脳の患者さんは約2万人。メディアやSNSで見かけた光過敏脳という言葉に反応し、相談に来られる方ですから、深刻な状態にある患者さんが少なくありません。
では、一般の方には光の弊害が生じていないのか? 私は光過敏脳の程度を評価するための質問表を作成し、井上眼科病院の職員とその家族など、20歳から80歳の男女を対象に昨年から今年にかけて調査をしてみました。グレードは全部で6段階。どの項目にも当てはまらないグレード0は「正常」であり、光への耐性があると考えられます。1は予備軍、2以降は光過敏脳で、数字が大きくなるにつれ程度が重くなります。各グレードの項目を一部挙げると……。
ほとんどがグレード0と予想したが…
・グレード1:「不意の日光の直射やLEDの光が時々不快」「1時間以上継続してテレビ、パソコン、スマホ、タブレットなど発光する画面(ディスプレイ)を見た後、疲労を時々感じる」
・グレード2(軽症):「日光の直射を受けること、LEDを見ることはなるべく避けている」「1時間以上継続してディスプレイを見ることで、頭痛、眼痛、疲労、不快を感じることが多い」
・グレード3(中等症):「屋内の照明はなるべく暗め」「20分以上継続してディスプレイを見ることで、頭痛、眼痛、疲労、不快を感じたことがある」
・グレード4(重症):「昼間の外出はまぶしいので控えている」「ディスプレイはほとんど見ることができない」
・グレード5(重篤):「暗室で生活している」「ほかの感覚過敏(聴覚、嗅覚など)もある」
いわゆる健康人が対象ですから、私の予想はほとんどがグレード0だろうというものでした。ところが107名から得られた回答を見ると、グレード1がグレード0を上回っていたのです。
・グレード0 30名(28%)
・グレード1 57名(53%)
・グレード2 13名(12%)
・グレード3 7名(7%)
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