目覚めると「2人の外国人男性」とベッドで添い寝…聡明な「女性薬剤師」はなぜタイでドラッグに溺れたのか
「恭介の言うとおりだったね」
恭介が息を荒くしながら続ける。
「葵はムキになって“わかった。やるよ。キメてやるよ。毎日でもやってやるよ”といきなり僕の前でケタミンを使ってしまった」
すると彼女は、「なるほど、こういう効き目なのね。確かに恭介好みかも。でも、やめられるよ」と口にしたそうだ。しかし、それ以来、彼女のほうから薬物をねだるようになってしまう。それどころか、「恭介の言うとおりだったね……」とつぶやき、ケタミンをはじめ多様な薬物を自らSNSで購入するように――。
詳細は省くが、見かねた恭介が彼女を説得し、2人で専門病院を受診して通院を始めたそうだ。結果、恭介は離脱症状を克服してなんとか薬物を絶つことができたが、葵さんはそうはいかず、さらなる深みへとはまって行く。そして、ついには職場を退職し、実家にも戻らずブラブラしているという。
「葵はひとりでタイにも行っています。先月はパタヤまで足を延ばして、そこで“外国人とケタミンをやってレイプされた”。さらに、“私は恭介を裏切った。もう恭介にはこれ以上、迷惑をかけられない。別れる”と言うので、“事故だから気にするな”となだめて思いとどまらせているのですが……」
恭介が続ける。
「彼女は最近、僕と会いたがりません。それで先週末の夜、電話で“先生に相談する。僕と別れてもいいから立ち直ってほしい”と伝えたら泣き崩れちゃって。それで、こうして伺ったわけなんです」
――そうか、分かった。すぐ彼女に会いに行こう。
「メリー・ジェーンにコーク、K、どれが好きだい?」
筆者は恭介の案内で葵さんのマンションに向かった。彼女はスマホを手に部屋の前で待っていた。痩せ細り、顔色も悪く、アカデミアなキャリアウーマンとしての面影はない。
「ごめんなさい。こんなことになるなんて……。先生にお詫びしたかった」
――謝る必要はないよ。ドラッグのことは後で聞こう。まずは身体だ。どうなんだ。病院を受診したのか? 感染症や妊娠検査は?
「……」
黙り込む葵さんを気遣って、恭介が声をかける。
「僕はリビングにいるから。葵、僕のせいなんだから,気にしないで」
「恭介、ごめんね……。恭介とケンカが増えたことで、憂さ晴らしがしたくなって、バンコクからパタヤまで足を延ばしたんです。ウォーキングストリート近くにホテルを予約して、ホテルのレストランで知り合ったアメリカ人たちと食事したり、ビーチで騒いだり。ナイトクラブでみんなと踊って、チャーンビール(タイのブランドビール)を飲んでいたら、彼らが“ドラッグやるか? メリー・ジェーン(マリファナ)にコーク(コカイン)、K(ケタミン)、どれが好きだい?”と尋ねてきたんです」
彼女がその場のノリで「Kが好き」と答えると、小さなスプーン付きのボトルペンダントが渡されたという。中には白色のパウダーが入っていた。彼女はその場でスプーンを使ってスニッフィングする。男たちも同じようにスニッフィングしたが、粉末が黄色がかっていたのでケタミンではなくコカインだったかもしれない、と彼女は言う。
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