「花粉症の人はがんリスク半減」 データが示す、がんになりやすい人、なりにくい人 「スマホ依存症と乳がんにも関係が」

ドクター新潮 ライフ

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 40年以上、日本人の死因1位の座にあり続けている「がん」。その予防こそが健康長寿の実現に向けた一丁目一番地といえよう。そこで大事になるのは確かな情報に基づいた対策だ。寝不足と寝過ぎ、どちらががんになりやすいのかなど、身近で役立つデータを紹介。【佐藤典宏/帝京大学福岡医療技術学部教授】

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 以前、私は「週刊新潮」さん(3月13日号)で、がんを遠ざける、あるいはがんになったとしても長生きしやすい10の食材を紹介しました。

 2人に1人ががんになる今の日本社会で、がんの予防は健康長寿の増進のためにとても重要な課題です。そこで、日々の生活で簡単に取り入れられる「10の抗がん食材」を取り上げたわけですが、もちろん、がんの予防は食材だけに限定されるものではありません。日常のあらゆる局面で、その振る舞い方によってがんを防ぐ可能性は高めることができます。

 とはいえ、次のような「ザ・教科書」的なアドバイスをされても、正直に言ってみなさんうんざりするのではないでしょうか。

 禁煙し、節酒に努め、バランスの良い食事を心がける――。

 当たり前のことではあるものの、だからこそ、あまり胸に響かない。より知りたいのは、もっと具体的で、データに基づいたがん予防法なのではないか。そう考えて今回は、10の抗がん食材に続き、新たに論文が発表されるなどして、エビデンスがしっかりとした「生活に密着したがん予防情報」をお届けしたいと思います。

 例えば、食事と並んで健康維持に運動は欠かせませんが、運動不足の程度を評価する指標の一つに座位時間があります。厚生労働省も「座り過ぎ」に警鐘を鳴らし、近年、注目を集めています。そして、2020年に「Cancer Science」という雑誌に報告された論文によると、日本人3万人以上を対象にした大規模調査の結果、仕事中に7時間以上座っていた人にある傾向が見られました。それは……。

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