「花粉症の人はがんリスク半減」 データが示す、がんになりやすい人、なりにくい人 「スマホ依存症と乳がんにも関係が」
猫を飼うと……
次に、ペットとがんの関係性について解説します。
19年に「Environmental Research」という雑誌に掲載された論文では、19歳以上のアメリカ人1万3000人以上を対象にペットを飼っているか否かを調べ、その上で肺がん死亡リスクを調査。なんらかのペットを飼っている女性は飼っていない女性と比べると、リスクが2.3倍になるとの結果が出ています。どういうわけか男性では、ペットの飼育の有無と肺がんリスクにそうした相関関係は認められませんでした。
さらに鳥を飼っている女性のリスクは2.7倍、猫を飼っている女性のリスクは2.9倍であるのに対し、不思議なことに犬を飼っている女性に死亡リスクの上昇は見られませんでした。猫や鳥などが持っている菌や病原性の微生物による影響で、人間の腸内細菌叢に変化が起きることや、毛や羽根を吸い込むことによって炎症が生じる。こうした点が、がんリスクを高めるという可能性が考えられます。
便秘とがんの意外なデータ
他には、いきむ力が衰えることなどから高齢者ほどなりやすい便秘に関して、慢性的な便秘症の人は大腸がんになりやすい――と思われがちですが、スウェーデンで4万人以上の大腸がん患者を調査した結果、便秘によって大腸がんのリスクは上昇しないという意外な結果が出ています。
一方、22年に「Annals of Epidemiology」という雑誌に報告された論文には、慢性の便秘を抱えている人は便秘がない人と比べて乳がんのリスクが2.4倍に上がると記されています。
便秘の人は消化・吸収のメカニズムに異常が生じている可能性があります。その結果、乳がんに関係する女性ホルモンであるエストロゲンの血液中の濃度に変化が出て、乳がんのリスクに影響を与えるのかもしれません。
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