高級寿司店の“自慢の握り”が「冷凍食品」に! 「銀座おのでら」が3年がかりで開発した「ネタとシャリ一体型」の急速冷凍法とは

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 コロナ禍で巣ごもり需要が高まったことをきっかけに、冷凍食品が一層おいしくなったと感じる人は多いだろう。コンビニやスーパーで買って、チンするだけでそれなりにおいしい料理が味わえるようになった。餃子のほか、俳優・小栗旬さんが登場する町中華でのCMが話題になったシュウマイ、ラーメンやパスタ、ピザなど、かつての「所詮は冷凍食品だから……」といった印象から「これが冷凍食品なの!?」と、驚くほどクオリティーが上がっている。

 そうした中、飛躍的に進化しているのが冷凍した“握り寿司”だ。2023年3月3日にデイリー新潮で、鮮魚専門店・東信水産(東京都杉並区)が開発した冷凍握り寿司セットを紹介した。あれから2年、さらなる技術革新があったため、ぜひ紹介したい。【川本大吾/時事通信社水産部長】

「一番マグロ」を5年連続で競り落とした名店が

 東京・銀座(中央区)の高級寿司店が今春、わざわざ郊外に冷凍寿司を製造する専門施設を建設し、5月から一般向けの通販を開始した。今後、業務用も含め、年間3万食の大量生産を目指すという。ネタは銀座店と同様、豊洲市場(江東区)で仕入れた高級魚介。1セット10貫(個)入りで、値段は税込み5400円也(送料別)。

 高級冷凍寿司の通販を始めた店とは、豊洲初競り一番マグロ(青森県大間産)を5年連続でゲットした「ONODERA GROUP」(オノデラグループ)が運営する「鮨 銀座おのでら」(以下、銀座おのでら)だ。銀座総本店のほか米国や上海を含め、国内外に計22店舗を展開している。

 その総本店自慢の握りを、なぜ冷凍しようと考えたのだろうか。

 一番マグロだけでなく、同店は日々、豊洲直送の選りすぐり・色とりどりの極上魚介を銀座へ運び込む。魚種ごとに丹念な仕込みを施した後、カウンター越しに熟練の職人が粛々と小気味よく握っていく。そのパフォーマンスを見届けながら、おごそか、かつ粋にいただくのが「ザギンでシースー」の流儀ではないのか――。

 冷凍寿司開発のきっかけについて、同店の坂上暁史統括総料理長はこう話す。

「銀座にお越しいただかなくても、何とかして銀座おのでらの握りを遠隔地のご自宅や、好きな場所で食べてもらえないものかと思い、3年ほど前から試行錯誤を重ねて参りました」

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