高級寿司店の“自慢の握り”が「冷凍食品」に! 「銀座おのでら」が3年がかりで開発した「ネタとシャリ一体型」の急速冷凍法とは

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今後は「5分で解凍」も

 ネタは季節によって変わるが、青森県大間で揚がったクロマグロなどの中トロや赤身、北海道産のヒラメや、千葉県勝浦産のキンメダイなど、どれも豊洲直送の「極上物」。握りセットは弱めの流水で1時間10分ほど解凍すると食べ頃。すぐに食べなくても2週間程度は家庭の冷凍庫で保存できるという。

 通販開始後、北海道から沖縄まで多くの注文があるといい、順調なスタートを切ったようだ。ただし、ホテルなど業務用に提供する場合、解凍時間の1時間10分は長過ぎるため、現在、銀座おのでらは特殊な電子レンジによる短時間の解凍法をメーカーとともに開発中。

 これまで、「上のネタと下のシャリに照射するマイクロ波を調整し、5分程度の解凍時間で食べられることが分かった」(銀座おのでら)といい、銀座以外の国内旅行者やインバウンドの需要を満たすのも時間の問題だ。

 銀座の高級冷凍寿司は、豊洲仲卸が母体の「B&Tマリンプロダクツカンパニー」(東京・中央区、鈴木勉社長)」でも、昨年から通販を開始している。同社が運営する「GINZA SIX」の寿司店「つきじ鈴富」の職人が握った寿司を急速冷凍し、こちらも全国各地へ配送している。

「3D凍結」で急速冷凍

 同社では、「マイナス40度まで高湿度冷気で包み込むように急速冷凍させる『3D凍結』という技術により、ネタの新鮮さと職人の技術が詰まったすしを、ありのまま冷凍する」(同社)といったコンセプトで、「解凍寿司“シャリは人肌”」とネーミングされている。

 ネタは豊洲で仕入れたクロマグロの中トロ、赤身、ウニ、マダイ、ホタテ、エビの6貫(個)セットで5500円(税込み)。解凍時間は、電子レンジで2分30秒ほど加熱し、取り出してから10分ほど。昨年5月の発売から次第に人気は高まっており、「今後は業務用として5分くらいで解凍して食べられるような方法を開発し、日本人の旅行者やインバウンドなどの需要に応えていきたい」(鈴木勉社長)と話している。

 にわかに技術が進歩した冷凍の握り寿司。日本の寿司は和食の代表格として、今や世界中で人気となっているだけに、銀座高級店の味を再現した握りは、国内遠隔地だけでなく、近い将来、海外でも手軽に食べられるようになりそうだ。

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