高級寿司店の“自慢の握り”が「冷凍食品」に! 「銀座おのでら」が3年がかりで開発した「ネタとシャリ一体型」の急速冷凍法とは

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「握りたてをそのまま冷凍保存」の衝撃

 銀座おのでらでは、2013年の創業以来、「銀座から世界へ」を合言葉に、寿司を中心とした伝統の日本食を広く普及させることをコンセプトに掲げてきた。冷凍寿司の開発も、そうしたメッセージに沿った取り組みだ。

 採用した握り寿司の冷凍技術は最新のものだ。2年前に紹介した鮮魚専門店の冷凍寿司は、アルコールを使った急速冷凍によってネタとシャリを別々に冷凍している。解凍する際、ネタは氷水に20分浸し、シャリは電子レンジで1分半ほど加熱、または10分ほど湯煎して、その後、シャリの上にネタを載せて軽く握って出来上がりだった。

 ところが、銀座おのでらが採用したのは、ネタとシャリが一体型の急速冷凍法。つまり、握りたてをそのまま冷凍保存し、解凍後はパックから出せばすぐに食べられる。

 握りたての冷凍を実現したのが、特殊冷凍機を開発・販売するデイブレイク株式会社(品川区)の「アートロックフリーザー」という業務用の大型冷凍機だ。この冷凍機の特長について同社は、「一方向ではなく、あらゆる方向から冷気を当てる特殊構造ファンにより、食材の乾燥を防ぎながら急速な冷凍を実現。食品の細胞が壊れず、ドリップがほとんどでない」と説明する。

 これによりネタの乾燥だけでなく、シャリについても水分が抜けて硬くなり、ぼそぼそした食感に変わる「白蝋化」(はくろうか)という現象も防いでくれるという。確かに寿司は軍艦巻きも含め、通常は冷蔵庫に短時間入れただけでも、シャリがパサつき、残念な食感に早変わりしてしまう。

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