納豆の大豆は本当に「遺伝子組み換えでない」のか
日本の食卓に欠かせない納豆や豆腐などの大豆製品。スーパーに行って成分表示を確認すると、ほぼすべての商品で「大豆(遺伝子組み換えでない)」と記されている。消費者へのアピールとして、「国産大豆を使用しています」とうたっている商品も多い。原料に「遺伝子組み換えの大豆を使っています」と記した大豆商品はまず見当たらない。
しかし、大豆は国内消費量309万5000トンの91%を輸入に頼っている。国内で生産される大豆の量は30万トンに満たない。そして、日本に輸出している国々では、大豆は市販が許可されている遺伝子組み換え作物である。
本当に、日本の大豆製品には「遺伝子組み換え大豆」は使われていないのだろうか?
食品問題の研究者で農学博士の高橋五郎・愛知大学教授は、「ここにはある種の虚構があるのではないか」という。
高橋氏は、7月に出版した『デジタル食品の恐怖』(新潮新書)の中で、この大豆をめぐって推論を展開している(以下、『デジタル食品の恐怖』に基づいて記述)。
■大豆製品をめぐる「虚構」
日本の最大の大豆輸入先はアメリカで、184万9000トンを輸入している。これは輸入量の65%だ。第2位はブラジル、第3位はカナダで、この3カ国で輸入量のほぼ100%を占めている。
アメリカ農務省の作付面積データによると、アメリカ産大豆の94%が遺伝子組み換えだ。逆に言うと、非遺伝子組み換え大豆は生産量のわずか6%に過ぎない。
国際アグリバイオ事業団などのデータによると、非遺伝子組み換え大豆の作付面積は、日本の輸入先第2位のブラジルで20%、同3位のカナダは35%と推察される。
これに、それぞれの国での大豆生産量を掛け合わせると、非遺伝子組み換え大豆の生産量が明らかになる。『デジタル食品の恐怖』によると、アメリカ648万トン、ブラジル1735万トン、カナダ212万トンで、約2600万トンとなる。
数字だけ見れば、日本の大豆輸入量の全量282万トンを非遺伝子組み換え大豆で手当することは可能である。
■遺伝子組み換え大豆は「見えないところ」に?
本当に、日本の大豆製品には「遺伝子組み換え大豆」は使われていないのだろうか?
しかし、大豆を輸入しているのは日本だけではない。世界最大の輸入国である中国は、1年間で7140万トンもの大豆を世界中からかき集めている(2014年)。中間層が増え、食の安全を気にするようになった中国も、非遺伝子組み換え大豆を求める人は多いだろう。もちろん、生産国にも非遺伝子組み換え大豆の需要はある。
しかも、大豆製品は納豆や豆腐、油揚げなどだけではない。味噌や醤油などの調味料にも使われている。こうした調味料の原料としても、「厳選された素材」を求める向きは多い。
もう一度考えてみよう。本当に、日本で使用されている大豆には、多くの遺伝子組み換え大豆が入り込んでいないのだろうか。
メーカーの偽装表記を疑っているわけではない。納豆、豆腐、油揚げに使われた大豆の総量は、2013年で57万9000トンで、日本の大豆消費量の5分の1以下である。スーパーで売られるような「顔の見える商品」には、遺伝子組み換えでない大豆を使っているのだろう。
ただ、格安居酒屋の豆腐や業務用の納豆、あるいは味噌や醤油など消費者が成分表示を直接目にしない部分では、遺伝子組み換え大豆が使われていても誰も気づくまい。こうした消費の部分はブラックボックスである。
ただし、そもそも論で言えば、「遺伝子組み換え大豆が悪いのか」という疑問もある。『デジタル食品の恐怖』の著者・高橋氏も、「遺伝子組み換え食品が健康に有害であると断言する根拠はない」と述べる。ただ同時に、「安全・安心である」とも言い切れない。
食の世界に絶対の安全はない。安すぎる商品にはその理由がある。成分表を鵜呑みにせず、時には自分で合理的な推論を働かせてみることも必要なのだ。
高橋氏は、「安心して食べられるものがなくなる。どうすればいいのか」という問いに対しては、「出来るだけ家庭料理をお食べください」と答えているそうだ。
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